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思わせる事だろう。
が、ここは鎮守府。艦娘達が集う一種の花園である。誰も誰かが食べる姿など見ては居ない。なにせ自身がその多種多様の一人なのだから、興味も無い上にただの日常風景だ。
そんな多種多様の一人である初雪が、意外にも上品に焼きそばを口に含み、こくん、と嚥下してから、ふぅ、と小さく息を吐き口を開いた。
「それにしても、今日の演習は……疲れた」
「夕立は面白かったっぽい」
「意味わかんないし……」
テンションの高い夕立とテンションが低い初雪は、余り意見の一致が無い。駆逐艦娘のアウトドア派代表が夕立であるなら、初雪はインドア派の双璧であり代表だ。ただ、それだけで二人の仲が危うい物かと言えば
「初雪のおかげで相手の足を止めれたっぽい、ナイスアシストっぽい!」
「まぁ……あぁいうの、ほんとは得意だし」
そんな事もない。人間も艦娘もこの辺りは同じだ。同じような性格の友人、知人が並ぶ中で、どうにも似ていない友人、知人が混じってくる。それは何故かと首をひねるも、当人に会って話をしているとどうでもよくなってくものだ。
「初雪、焼きソバ美味しい? 美味しい?」
「うん……じゃあ……そっちのお肉と交換」
――猿山って、偶に他所の猿を受け入れて新しい血を求めるんでしたか?
浜風は自身の前で仲良くおかずの交換を始めた二人を眺めつつ、これはなかなかに失礼な事を考えてしまったと己を恥じ、俯いた。だが、それを見ていたのだろう。時雨が浜風に笑顔を向けて、こそっと囁く。
「多分、僕も同じような事を考えていたよ」
その言葉に浜風は顔を上げ、くすり、と笑った。
浜風は自身の周囲を見回す。ゆっくりと、ゆっくりと。
時雨はマイペースに湯飲みを仰ぎ、夕立は、焼きソバ美味しいっぽい、とにこにこ笑い、初雪は焼肉をこれもまた上品に口に運び、高波と綾波は、初雪と夕立と同じ様に互いのおかずを交換して穏やかに微笑んでいる。
――良かった。
浜風は豆腐とワカメの味噌汁を飲みながら胸中で呟いた。
浜風は、提督の下に来たのが遅かった。今同じテーブルについている中では、後ろから二番目だ。どういう訳か判然としないが、建造では生み出せない艦娘達が居る。浜風もその一人だ。彼女を含むそれらの艦娘達の多くは、大本営が三ヶ月に一度発令する特別海域作戦や、高難易度を誇る海域でしか発見できない。
そのてん、浜風は比較的安易な海域で発見、邂逅出来る艦娘であるのだが、その発見率は極めて低い。ベテラン提督の鎮守府でも、彼女が未所属であるのは珍しい事でもないのだ。
――ここで、良かった。
所属した時期が遅かった。だが、そんな物はまったく問題にならない。
演習、実戦、海上護衛……様々な任務が、経
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