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執務室の新人提督
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。したいんだけどなぁー。

 なにぶん、執務室から出ない提督である。情報は艦娘達から聞くか、青葉通信か、インターネットか、だ。ただそれも情報の取得であって、交換ではない。交換の方法が無い訳でもないのだが。
 
 ――例えば、これか。

 机の上の青葉通信をもう一度手にして、末頁を目にする。そこには、提督同士のやり取りが書かれていた。
 
「○○鎮守府の○○提督、レアレシピどうもでした」「嫁(戦艦)の料理が不味い」「○○提督、前の飲み会ではどうでもでした。またお願いします」「嫁(駆逐艦)の料理が不味い」「たべりゅー」「うちの飛龍が俺にたくさん食べさせてくる、これ何?」「ワレアオバ」「にゃあ」
 などなど、である。
 
 それぞれの青葉が所属する提督のコメント欄だ。当初はただの挨拶だったのだが、いつの間にか互いへの感想やレス、コメントになってしまっていたらしい。当然、ここに彼が参加する権利はある。彼は提督だ。彼の青葉もこの通信に参加している。
 だが、彼は特に参加もしなければ、自身の情報も出さなかった。それぞれの鎮守府等の情報公開となれば、そのトップである提督の情報も含まれる。先にあった新人提督などの話は、まさにそれだ。そのうち小さな話程度は青葉に許可するつもりだが、その程度でお茶を濁すつもりしかないとも言える。
 
 ちなみに、提督の所属する鎮守府は、その情報が殆ど出ていない事から逆に注目されてしまっている。隠し玉、或いは切り札、そういった組織なのではないかと一部提督達から噂されているのだ。もちろん、それはただの思い込みで勘違いでしかないのだが。
 
 ――まぁ情報交換もなにも、相談したら一発アウトで病院いきだろうけどなぁ。……それにしても。

「若いなぁ……」

 提督はもう一度新聞を開き、一つの記事に目を落とした。黒い文字列の中に白黒の写真がある。そこに、はにかんだ少年と雪風が写っていた。少年提督の年頃は、どう見ても十代後半……いや、十代後半成り立て位にしか、提督には見えなかった。
 
「今は、珍しくありませんよ?」
「えぇー……」

 畳んだ下着類を箪笥に仕舞いながら微笑む幼な妻風初霜に、提督は唖然とした。珍しくない、と初霜が言ったのだから、それはつまり――
 
「平均年齢は?」
「19……くらいだった筈です」
「……」

 初霜の答えに、提督は頭を抱えた。確かに、そうだろう。提督自身、本来提督と呼ばれるには不相応な若造だ。自身もまた、その異常の証明の一助となる事例であった事に、提督は更に頭を抱えた。
 
「その……私達が艦であったころと、艦娘である今だと、提督の意味が違うんです」
「……あぁ、それか。個々の能力云々じゃなくて、艦娘が従える――なんだ、資格があるかどうか、と?」
「そう
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