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達は、美味しそうにたべますよねー。いや、特に、って意味ですよ?」
「いや、青葉。赤城達やったら、これ一個一口でいくで?」
「またまたご冗だ――いや、マジですか?」
青葉はあわてて残りの肉まんを口に放り込み、開いた手にいつの間にかペンを握っていた。少し遅れてメモを手に取り、頁をめくって何事かを記していく。
「あんたのそれも、赤城達の食道楽と同じくらいすごいなぁ」
「いえいえ、私なんてとてもとても」
にしし、と笑みを見せる青葉に、龍驤は肩をすくめる。それは青葉の目からしても堂に入った物で、違和感も滑稽さも覚えさせない。
「で、一つお聞きしても?」
「んー? なんやー?」
青葉は一つ、また一つと龍驤に質問をし、龍驤もそれに答える。龍驤は答え方一つにも余裕があり、多少ずれた話にも穏やかに笑って返す。青葉は長門や金剛とはまた違った安心感を龍驤に覚えた。
龍驤と言う軽空母艦娘は、一見すれば駆逐艦娘かと思えるほど小柄で華奢だ。全体的に細い体つきも、背丈も、肉付きの薄さも、少女然とし過ぎた艦娘である。
だが、決して誰も彼女を侮らない。誰もが彼女を下に見ない。この鎮守府に属する者なら誰もが知っている。
第一艦隊の右目。第一艦隊不動の元一航戦コンビ。
不動とは謳われど、海域の攻略上、編成から外れた事は何度か在る。だが、それ以外では全て参加した、いや、今現在も参加し続けている古強者だ。青葉とて古参である。だが、龍驤はそれ以上に古参だ。提督の艦娘が十も居ない頃から弾雨をくぐって来た、最初期の軽空母なのだ。おまけに、青葉が昔旗艦を任された際には随分世話になった軽空母の片割れでもある。艦種の違いから人型での挙動を馴染ませるための指導を受けたわけではないが、青葉が艦娘の心得を教えられたのは、間違いなく龍驤である。
青葉は、我知らずため息を零した。
「ん? どないしたんや?」
「いえ……その、龍驤さんは提督の覚えもめでたい、うちの看板じゃないですか」
「ほっほー、なんや自分、誉めごろしか?」
満更でもない表情で笑う龍驤に答えもせず、青葉は続けた。
「私なんて一番最初の重巡洋艦娘とは言っても、今じゃ十把一絡げの存在ですし提督にも――」
そこで青葉は口を閉ざした。龍驤が、見上げているのだ。青葉を、じっと。
そこには今まで龍驤の貌を彩っていた笑みも、青葉を優しく包み込んでいた穏やかもさも無かった。
青葉の頬に、冷たい汗が流れた。彼女は口を閉ざした、と前述したが実際は違う。動かないのだ。青葉は、今物理的に動けないだけだ。遮られた口も、龍驤の双眸に縫い付けられた目も。
龍驤は、またしても手についた肉まんの麺麭をぺろりと舐め取ると、自身のトレードマークの一つでも在
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