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の……」
「言わせたくない?」
「聞きたくは、無いと……思います」
続くはずであった提督の言葉を遮った眼光は瞬時に消えうせ、今の神通の瞳は常の深く静かな物である。それを確かめてから、提督は自分の膝を叩いて立ち上がった。
「じゃあ、片付けようか。どうにも僕は、ダイエットでは走れても、趣味や訓練となると、やっぱり走れない物であるらしいや」
提督が窓から見える夜空を眺めていると、ドアがノックされた。これもまた控えめな音であるが、提督の耳には昼のそれとはまた少しばかり違って聞こえた。
「はい、どうぞ」
間を置かず扉は開かれ、提督が一番見慣れた少女が執務室に入ってきた。
「提督、ただいま帰還しました」
「ん、お帰り。怪我とか、そういうの、大丈夫ー?」
「その……翔鶴さんが中破で、今入渠中です」
「バケツ、使っていいよー」
「はい、それで戦況報告ですが」
「はいはい、お願い」
海域の情報、問題点、敵の戦力、それらを一応聞いてから、提督は"らしく"頷いて見せた。
「お疲れ様だね」
「ご苦労、と言って下さい」
目上として振舞え、と言外に語る初霜に提督は、ふふんと得意げな顔で
「僕はいつだって甘えるのさ。なんたってインドアだからねー」
そう笑った。
「今日はまた一段と意味が分かりません……」
困った顔で呟いた初霜は、なんとなく室内を眺め、そこに見慣れない物がある事に気づいた。
「あの、提督、あれは?」
初霜の指さす先に在るそれを少しばかり意地悪げに見つめて、
「貰ったんだ。上手にお黙り出来たご褒美にってさー」
提督は笑った。
執務室の隅に、ルームランナーが一つ、ぽつんと在った。
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