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神通の顔を見て一つ聞いてみたくなった。
「神通さん」
「は、はい?」
提督は神通の瞳を覗き込み、神通もまたそれを真っ直ぐと受け止めた。あと少しで再び神通が俯く、といったところで提督は
「ルームランナーって持ってない?」
そんな事を言った。
結果を言うと。
「はっ、はっ、はっ……あ、これ、ちょっと、速度、落とさ、ないと……」
「が、頑張ってください、提督」
持っていた。
「雨の日なんかは、グラウンドも使えませんし、屋根のある訓練室もあるにはあるんですが、狭いですから……」
自室からマイルームランナーを持ってきた神通は、提督にはにかみながらそう言った。
「こういうのを、訓練室にも、置いた方が、いいかも、だね」
「ですね」
トレーニングウェアに着替えた二人が、ルームランナー上を走っていく。
ちなみに、神通も提督の隣でルームランナー中である。しかも設定してある速度は提督より上だ。男としては情けない事態かもしれないが、相手が艦娘、その中でもトップクラスである上に、提督はトップクラスのインドアである。勝負にならないのは当然であった。
十分も持たず、提督はストップボタンを押して室内のソファーに倒れこんだ。
「あ、あぁー……、駄目だ、ソファーが、汗臭く、なる……でも、起きれ、ない……」
息も絶え絶え、といった姿の提督に、神通は自身もルームランナーから離れ、これも持参してきたタオルとスポーツドリンクを手渡した。
「どうぞ」
「あー……ありがと、神通さん」
提督は幽鬼の如く起き上がり、しばらくぼうっとしてから渡されたタオルで顔を拭い、髪を風呂上りのように乱暴に拭く。それからスポーツドリンクを嚥下し、自身の隣に立ったままの神通を見上げた。
「すごいね、神通さんは……僕なんて、すぐこれだ」
「私は、艦娘ですから」
「だとしても、だよ……インドアを自認する僕なんてのは、まぁこんな物でございと、情けなさも感じないのが、情けないけど」
「私は、これしかありませんから」
提督の自虐に、神通は胸に手をあて、目を閉じる。
「私は、提督のお仕事は手伝えても、それその物を出来ません。艦娘は艦娘であって、提督の部品足り得ても、提督にはなれませんから」
「……僕は、あれだな」
悲壮さを堪える様に目を閉ざした神通の、運動直後の上気した艶然に過ぎる貌を見上げたまま、提督は首を横に振った。
「冥利に尽きる、と言うべきなんだろうけど僕は――」
瞼を開いた神通の、その奥にある深い茶色の双眸に、提督は見入った。
見入らされたから、提督は肩をすくめた。
「……言わせない?」
「あ
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