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い。
大淀は先ほど目を通した書類の内容を思い出しながら、自分の相には何も表さず提督の顔を見つめたまま、思案した。
書類仕事も確りと勉強し覚えている様であるし、何より。
――モチベーションと、現状維持、ですね。まぁ、それと、うん、まぁ、それ。
「提督、何か欲しいもの、或いは、して欲しい事はありませんか?」
「んー?」
この提督は、甘やかしたくなる。
理性的な大淀らしからぬ事であるが、このままの提督で居て欲しいという打算的な餌付けでもある。感情大盛りの、情寄りな打算では、あるのだが。
「欲しいもの、して欲しい事……かー……」
腕を組んで、うんうん唸りだした提督は、何か自分の中にある欲求を見つけたのか、さっと腕を解いて口を開いた。
「大淀さん、僕――」
「吃驚しました」
「あ、あはははははー」
現在時刻2340。大淀はカウンター向こうの、苦笑いで頬をかいている同僚に愚痴をこぼしていた。
「だって、そうじゃありませんか? 提督だって若い男性なんですから、普通は、こう、ね?」
「分からないくも無いんですけれどね。こう言っちゃなんですが、私達って見た目は一級品ですし」
「ですよ、そうなんですよ。いや、余り自分で誇るような事では、ないんでしょうが……それに、実際求められても、ですしね」
「あー……」
提督とそういった関係になるのは嫌だ、とまでは彼女は思わなかった。"提督""司令官"に求められるなら、艦として応えなければならないからだ。が、何かの報酬として求められるのは釈然としない。純粋に求められていないからだ。
――あぁもう、そうではなく。
どうも自分は混乱しているらしい、と大淀は自己判断を下した。着任して半月程度の提督に乱されるなど、あってはならない事だが、揺れ動く"乙女心"という奴は平常心を簡単に駆逐する。
結局のところ、大淀の女としてのプライドと、艦として求める提督への想いと、純でありたい乙女心が入り乱れて均衡を崩しているだけの話だ。
大淀は自身とよく似た服着た同僚、明石に手に持っていた籠を渡してため息をついた。
「毎度どうもー」
「こういうのを買う日が来るとは、思いませんでしたよ」
「私も、大淀さんが持ってくる日が来るとは、思いませんでした」
明石は自身が任されている酒保でも、特に売れ筋でもない商品をレジ打ちしながら眺める。明石の視線に誘われたのか、大淀も同じく、自身が籠に居れ、カウンターまで持ってきたその商品を見つめた。
『カップラーメン 大盛り』
「……これは、どういう時に食べるものなんでしょうか?」
規則正しい食生活を心得え、間宮の食堂の常連である大淀にとっては、
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