6部分:第六章
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の声は笑ったままだった。
「沙代子さんのことですか」
「澄ました態度でおられましたね」
こう直也に尋ねてきたのであった。
「いつも通り」
「澄ましたっていいますか」
直弥は彼の言葉に応えた。それもかなりストレートに。
「お嬢様っていうか。そんな落ち着いて気品のある態度で」
「確かにそうです」
執事もそれは認めるのだった。
「ですがそれは」
「それは?」
「あくまで一文字様の前だけでのことなのですよ」
顔は前を向いたままだったが声はさらに笑っていた。
「実のところは」
「僕の前だけっていいますと」
「釘を刺して頂きます」
執事の声が急にあらたまった。
「このことは誰にもお話されぬように」
「誰にもですか」
「そうです。とりわけお嬢様には」
何故かここで沙代子のことを出すのであった。
「それは約束して頂けますね」
「ええ、まあ」
一体何なのかを心の中で伺いながら言葉を返した。
「口は堅い方でして」
「それを聞いて安心しました」
「けれど運転手さんがおられますよ」
ここで直弥は今車を運転している運転手のことを話に出した。
「それでもいいんですか?聞かれていますけれど」
「私と彼はですね」
「はい」
「従兄弟同士ですので気心は知れたものでして」
やはり声を笑わせての言葉であった。
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