はて迷外伝 最強の剣と最強の盾2nd
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ブローが男に突き刺さった。凄まじい衝撃に男はそのまま数Mほど宙を舞い、反対側にいた男達のテーブルに背中からぶつかって料理と木片がぶちまけられる。
「このガキども………!!新人だと思って大目にみてりゃぁつけあがりやがってッ!!もういい、テメェらこのガキどもをやっちまえ!!野郎は骨を折ってゴミ捨て場!女は一晩中俺達の輪姦し者にしてやれぇッ!!」
「あら、物理的に不可能なことをのたまうなんて『おままごとのしすぎで頭がハッピー』になったんじゃないのッ!?……ユーリ!こいつらに未来の最強の力をブチ込んでやるわよッ!!」
トールの目線などまるでなかったかのように二人は曲がりなりにも現役の冒険者に真正面から突っ込み――1時間後、滅茶苦茶になった店と、これでもかというほどボコボコに叩きのめされた冒険者たち。そして肩で息をする二人の若者がそこに残されていた。
「ぜはっ!ぜー、ぜー………た、タフすぎるでしょ、恩恵持ち冒険者……!!」
「やはり、恩恵の有無は大きかったな……何発か、いいのを貰ってしまった………」
二人は息を切らしながらも胸を張る。アーサーと呼ばれた少女は息も絶え絶えな男たちの方へと一歩踏み出して勝利を誇示するように片手を天に突き上げた。
「この喧嘩、私達の勝ちよ!!未来の剣王とこの街で初めて戦ったことを光栄に思って……次はもう少し誇りある戦士になって出直してきなさいッ!!」
あれほど自分を馬鹿にした醜悪な連中に嫌な顔一つせず、敬意を払いつつも自らが王であることを誇示し続ける。それは底抜けの馬鹿なのか、優しいナルシストなのか、一見しただけでは判別がつかない。
しかしこの時、トールが彼女に対して抱いていたのは呆れでも、店を潰された怒りでもなかった。
誇らしげに笑う彼女の背中に、『想願』を背負ってもなお余りある巨大な意志を垣間見たこと、そしてそんな少女に出会えたことへの――純粋な喜びだった。
「なぁ、お嬢さん。俺の店をぶち壊した詫びってわけじゃないが、儂の話を少し聞いて行ってくれんか?」
この事件の翌日から、トールの酒場が【トール・ファミリア】のホームとして正式にギルドに登録されたという。
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