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はて迷外伝 最強の剣と最強の盾2nd
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き、新人はいつもその現実を認めようとしない。やってみなければわからない――そんな魔法(のろい)の言葉に縛られては戦いに挑み、そこで初めて魔物と戦う本物の恐怖を知るのだ。実力の伴わない虚勢に耳を貸すほどこの街の住民は甘くはない。

 お前のような冒険者は腐るほど見た。だが、その中から英雄になる者など見たことがない。そんな夢を見る時代はもう終わったのだ。それが、黄金期を過ぎたこの街に蔓延する空気だった。

 しかし少女は、次の瞬間にそんな彼らを鼻で笑った。

「言ったわね、底辺冒険者軍団?なら一つ賭けでもしようじゃない。――私が『二つ名』で王の名を冠したら、あんたたち私の子分になりなさい。たかが新人のたわごと、どうせ敵わないならその身を賭けても損はないでしょ?」
「たはははっ!!ああ、いいぜぇ?それでお嬢ちゃんの方は何を賭けてくれるんだぁ?処女でもかけてみるかぁ?がはははははははははっ!!」
「あんたたち全員を総べる権利と全然釣り合わないから却下」
「………あまり調子に乗んなよ、ガキ」

 げらげらと笑っていた男達の声色が、威嚇するような低さに変貌する。

「俺達はレベル1だが、まだファミリアにも入ってねぇ小娘じゃあ到底かなわねぇ位には強いんだぜぇ?その気になればこのままホームに無理やり連れ込んでヨロシクやれるぐらいにはなぁッ!!」

 男の一人が少女の胸ぐらに素早く手を伸ばした。

「――ああ、失敬。俺の君主に汚い手で触らないで貰えるか」

 直後、少女の隣にいた少年が食事を続けながら男の手首を掴みとった。

「んだ、てめぇ。嬢ちゃんが王様気分ならツレは騎士(ナイト)気取りかよ?とっとと離しな、そのほそっこい腕を折っちまうぞ?冒険者になりたてで剣を握れない手にはなりたくねぇだろ………!?」

 軽く振り払おうとする動作を見せる男。しかし、動きに反して少年の腕は微動だにしない。それどころか、少年の細い指は段々と男の腕にミシミシとめり込んでいく。底に到って男はやっと気づく。少年の筋力が、自分の力を遙かに上回っていることを。

「そういえば興味深い話をしていたな。確かアーサーの処女を賭けるとか、攫ってヨロシクだとか………笑わせるなよ半端者。つまらない冗談はその辺にしておかねば、明日剣を握って戦えなくなるぞ」
「ぐ、がぁぁぁぁぁぁぁぁッ!?こ、こいつ!冒険者でもねぇのになんて馬鹿力してやが……クソがぁッ!!」

 生意気な態度に激昂すると同時に力関係を誇示したいという無駄なプライドが頭を支配し、男は腰の短剣を引き抜いて少年に鋭く振り下ろした。

「――ユーリ、そいつから手ぇ離して。今から殴り飛ばすから、ねッ!!」
「な――ガハァッ!?」

 剣が届くより早く、非力だと思っていた少女が腰だめに放ったボディ
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