はて迷外伝 最強の剣と最強の盾2nd
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ルへこれまでの感謝を告げた。そして同時に、志半ばで逝ってしまうことに対して謝罪をした。
それは、天界の何者かがトールを憐れんで設けた告別の場だったのかもしれない。真相は分からないが、少なくともトールは彼らが幻ではないと確信した。トールは静かに、眷属たち一人一人に告別の言葉を継げ、感謝とともに抱擁した。
一人一人ゆっくりと、嘗てを回顧しながら在りし日の暖かな日々を想う時間。永遠に続いて欲しい――そう願うほどに心地よい時間は、永遠には程遠い間に終わった。
トールは、別れが惜しくなった。地上に降りた神も、二度と地上へ降りぬという誓いを受け入れれば再び天界へと舞い戻ることが出来る。トールは今から天界へ昇り、子供たちと永遠に過ごそうかとさえ考えた。しかしそれを口にすると、子供たちは首を横に振った。そして、こう告げた。
『トール様、貴方はここで終わるお方ではありませぬ。それに、トール様が地上を去ったのなら、志半ばでダンジョンの制覇を諦めることになった我々の無念はどこへゆくのです?刹那と那由多が永遠に交錯する世界へ散ってしまうのですか?』
『貴方と永遠に共にいる……確かに甘美な、あまりにも甘美な誘惑であります。しかしそれは駄目であります。我々の夢が……貴方と共に見た輝かしい夢が、それでは嘘になってしまいます。我等が貴方と共に同じ夢への永遠の裏切りになってしまいます』
『夢を継ぐ者を見つけてください。我等の生きた証――我らの『想願』を背負うに相応しいと貴方が思った者が、いずれ現れます。どんなに時間がかかってもいい、何度世代をまたいでもいい……我等と貴方が築いた時代を、終わらせないでください』
『そうすれば……我々の魂は離れるとも、我等の『想願』は永遠にトール様と一緒にいられるのです』
『泣いてもいい』
『叫んでもいい』
『それでも我等を想うのならば』
『その時が来るまで耐えて、耐えて、耐えて………我らの後輩を、導いて下さいませ』
夢から覚めたトールは、残されたわずかなファミリアを集めて、その顔を見渡した。
いずれ大成するであろう期待を抱かせる者ばかりだったが、その中に『想願』を背負うに相応しい者はいなかった。トールは、ファミリアを解散することを正式に告げた。
その後、トールは彼らの才覚を見極め、全員にトールの考えうる最適の神への『改宗』の手伝いを施した。そして、残されたあらゆる財のうち本当に残したいものだけを信頼のおける友神に預け、ホームを含むそれ以外の全てを換金して銀行に放り込み、そのままオラリオの表舞台から姿を消した。
= =
それから数十年の刻を経て――親友のファミリアが壊滅し――世代が変わり――誰もが【トール・
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