02
[3/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ない相で時雨は初霜に続きを促した。
「提督はどうも……そうですね、高速戦艦ネームシップさんみたいなタイプは、ちょっと苦手みたいですよ?」
「私も、苦手……」
「えー、夕立は好きっぽいけどなー」
「十人十色さ。で……逆に、どういうタイプは提督から苦手に思われてないのかな?」
「そうですね……」
初霜は腕を組んで、むー、っと唸りながら考え込んでから、あぁ、とつぶやいて組んでいた手を解いた。
「曙さん、満潮さん、霞さんに……大井さんと比叡さん……かな?」
「司令官はMなんでしょうか?」
「高波、がんばるかもッ」
「やめて下さい」
常識人の浜風はすでに一杯一杯であった。
――あぁ、姉さん達。姉さん達。この無力な浜風に力を!
そんな事を浜風が思った際に脳裏をよぎった顔は、ひまわりの種を満足そうにかじる雪風であった。
――チェンジで。
早かった。そして仕方のない事であった。
「あくまで、苦手かそうでないか、の基準で見た場合です。情となればまた人は複雑でしょうから、半月程度ではなんとも言えませんよ?」
初霜の言葉に、皆は、浜風さえもふむと頷いた。と、何かに気づいたのだろう。高波がおずおずと手を上げて、自信なさげに声を上げた。
「あの……今日のお昼当番って、金剛型の皆さん……だったかもですよね……?」
「おぉう、タイムリーっぽい」
「何が好都合なんだい?」
妹の言葉のニュアンスを正確に捉えた時雨の言葉に、夕立はにやりと笑って返した。
「我等が提督の秘書艦殿に、その辺りをきっちり聞いて貰うチャンスっぽい」
「なるほど……状況次第では長門さんに報告して修正案募ろうか?」
呟いた初雪に、初霜は苦笑を浮かべて首を横に振った。
「たぶん、提督の事ですから――」
「いや、嫌いじゃないんだよ」
ほら、やっぱり、と初霜は胸中で呟いた。
つい先刻まで金剛型戦艦達との昼食兼お茶会が開催されていた執務室で、提督は机にへばりついて書類にサインをし、或いは判子を押し、初霜の質問に答える。
「ただほら、僕はこういう……インドア人間じゃないか? 金剛さんとか長良さんとかは、人間としての平仄が合わないというかなー」
「お嫌いですか?」
「だから、それはない」
提督は疲れた顔で書類から顔を上げ、顔の前で掌をひらひらと動かす。
「だいたい、好きだ嫌いだで人を選んで、仕事をやろうって話じゃないだろう、ここはさー」
「まぁ、そうですね」
「あー……でもなぁー……」
疲れた顔で天井を仰ぎ見る提督に、初霜は疑問符の透けてみえる相で小首をかしげた。
「金剛型って、お弁当の四分の二がアウトかデッドなんだよねー
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ