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日は綾波型。昨日は暁型。今日は初春型。明日は――」
「白露型の皆さんですね。じゃあ、そろそろ私達の番かなー」
提督のために弁当を作り、初霜のように微笑む順番である。だがしかし。
「誰が持っていくかで、大抵荒れますが」
「前の時も陽炎型とか大混戦でしたよ」
ハイライトさんが仕事を放棄した顔で初霜が呟くと、普段の元気印など知らぬと言った顔で雪風が返した。
駆逐艦娘寮○○型部屋からお送りするホットなセンソウカッコガチである。最悪の場合他の艦娘も巻き込む仁義なきセンソウカッコガチである。いや、彼女達の仕事は冗談抜きのガチ戦争ではあるのだが。
「姉妹の数が多いですものねー」
「ねー」
なんとなく、苦くではあるが微笑んで、二人は肩を並べて歩き出す。話題は、そのままだ。
「吹雪さんとこみたく、分けた方が良いかもしれませんね?」
「でもそれやると、改白露型とか、陽炎姉妹なのか夕雲姉妹なのかはっきりしない末っ子が暴れるかもですよ? いや、秋雲だと両方のお弁当当番に顔出すんじゃ……」
「んー……そこはまぁ、言い含めておかないとね? あぁ、あと霞さんのとこも、姉妹多いですから、ちょっと荒れる、かなぁ?」
何を好きこのんで男一人の弁当当番を争うのかと思われるかもしれないが、なんの因果か少女へと転じた艦達にとっては、提督、或いは司令と呼ばれる男は特別な存在なのだろう。
「あ」
「なんです? なんです?」
「霞さんと言えば、前のお弁当当番のとき、得意料理のカレーを入れたそうなんですけれど」
「あぁ、大事な決戦の前に用意して食べるくらいですもんねー」
坊の岬の実話である。あと雪風はさらりと流したが、朝からカレーは一定の年齢を超えた人間にとっては拷問である。さらに言えば弁当に向いた物ですらない。あと通常紫に光ったりは決してしない。あの高速戦艦は何を混ぜているのだろうか。
「お昼って、軽巡、重巡と戦艦の人が当番でしょう?」
「夜は軽空母と正規空母と航空戦艦の人でしたっけ。住み分けですねー」
雪風は微妙に間違っていた。
「そうね。で、お昼、足柄さんだったらしくて……」
「あ」
朝昼ダブルカレーである。そして始まったまさかの礼号組を巻き込んだ内部抗争は、提督内で一生語られる逸話となった。胃へのダメージと共に。
雪風と初霜は、互いに目を合わせて、柔らかく微笑んだ。微笑ばかりの朝ならば、多分それはきっと幸せな事なのだろう。
「うん、おはよぅ……はつ、しもさん?」
「はい、初春型四番艦、初霜です。おはようございます、提督」
朝は弱いらしい提督を手伝い、初霜は執務室の隅に広げられたままの、つい先ほどまで提督が包まっていた布
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