5部分:第五章
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か!?」
直弥はまだ沙代子の言葉が信じられずに彼女に問うた。
「今のお話、それは」
「私は嘘は言いません」
沙代子は毅然として答えた。
「また言葉を変えることも好きではありません。ですから」
「嘘だ・・・・・・」
「ですから」
沙代子の言葉が少し厳しくなった。
「私は嘘は言いません。今申し上げましたが」
「それはそうですけれど」
「殿方でしたら一度聞いた言葉はそれで理解されなくてはなりません」
三日前と同じ感じの言葉であった。
「ですから。私の言葉も疑わないで下さい」
「わかりました。それでは」
「何でこうなるの」
「まさか。会長があの子を選ばれるなんて」
女の子達はこれ以上はない程まで呆然としていた。本当に誰もが顎が外れそうで口をあんぐりとさせていた。冗談抜きで林檎が丸ごと入りそうであった。
「夢じゃないわね」
「頬、つねってみる?」
女の子の一人が隣にいる娘に言った。顔は直弥と沙代子を見たままだ。
「多分それでわかるから」
「じゃあ私のも御願いね」
「ええ」
こうして二人でお互いの頬をつねり合う。すると夢ではなかったことがわかった。
「痛いわね」
「ええ、痛いわ」
顔は相変わらず二人を見ている。
「だとしたらやっぱり」
「現実なのね、これは」
そのことを悟ったのだった。間違いなかった。何しろここで醒めないのだ。これで夢だとは流石に思わないのだった。痛さがそれを教えていた。
「嘘じゃないなんて」
「こんなことが」
「宜しく御願いします」
沙代子は深々と頭を垂れて直弥に告げた。
「こちらこそ。是非」
「はい、こちらこそ」
直弥もそんな沙代子に応えるようにして深々と頭を垂れる。お互いどうもぎこちない感じがするのが傍目には中々面白い光景であった。
「御願いします」
「では早速車に乗って頂きます」
「車ですか」
「はい、そうです」
静かに直弥に答える。
「前に御覧になられましたね。あのリムジンで」
「リムジンでですか」
「そうです」
「それで一体何処に」
連れて行かれるのかと思った。直弥は話を聞いていてかなりえらいことになってきているのは実感した。だがどういうことなのかはよくわかってはいなかった。
「行かれるんですか」
「決まっております」
返答はこうであった。そして告げるのは。
「私の家です」
「えっ!?」
この言葉にまたしても驚く直弥と女の子達であった。
「あ、あの家って」
「まさか」
「会長の」
「そのまさかですけれど」
今度は女の子達の言葉に答えていた。実に平然とした物腰で。
「それが何か」
「何かってあの」
「会長、それは幾ら何でも」
「私とお付き合いして頂く殿方です」
平然とした態度はそのまま
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