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RSリベリオン・セイヴァ―
第十九話「HAWAIIAN・BLUE」
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と、彼女も千冬の存在に気付いた。
「蒼真……」
不安な表情をとるも、神無は弥生に「先に狼殿と遊んでくるといい」と、言い残して蒼真と共に人気のないテトラポットの森へ向かった。無論、後から千冬も生徒達に一言残して後を付けていった。
「蒼真……お前なんだな?」
二人は立ち止まると、背後から千冬が恐る恐るそう彼に尋ねた。
「……」
麦わら帽子とサングラスをはずし、彼はゆっくりと振り返る。
「蒼真……!」
厳格な彼女の表情は次第に微笑んでいく。しかし、そんな彼女に対し蒼真は無表情に彼女を見ているだけだった。
「何故……あのとき、私を拒んだ?」
玄那神社へ訪れに来たときのことを千冬が聞き出す。
「何のことだか……?」
「とぼけるな! 神無という女が割りこんできて、お前と話す機会は無くなったが、あの時一瞬お前からとてつもない殺意を感じられた……」
そして、彼女は思いっきった質問を投げる。
「蒼真! 何故、私にあのような殺意を向ける!? 答えろ!?」
「千冬……」
蒼真は、サングラスを掛け直すと、彼女にこう告げた。
「……三日後の日没まで待ってくれ? そん時に答える。今は、まだな?」
「……」
不満な表情を見せる千冬を背に、蒼真は行ってしまう。そして、そんな彼の後を神無が歩くが、
「待て……」
「……?」
千冬に呼びと前られた神無は、振り返った。
「何か……?」
「蒼真に……何を吹き込んだ?」
「は……?」
「蒼真に、何を吹き込んだと聞いている?」
鬼のような目で千冬は彼女を睨んだ。しかし、そんな千冬の怒りに神無は全く動じず、むしろ言い返した。
「言っている意味が、よくわかりません……」
「ふざけるな……! お前が、蒼真と私を引き裂こうとしていることはわかっている」
「……何を仰っているのか。私にはわかりません」
「蒼真に手を出すな……彼は、私の物だ!」
やや、感情的に陥る千冬に、神無は冷静に言い返した。
「誰も、人を物呼ばわりする権利はありません。それが、ブリュン・ヒルデである貴方であっても」
「っ……!」
さらに、睨み付ける千冬だが、それでも神無は冷静を保った。
「織斑さん……? どうして、彼の心に気付こうとしなかったのですか?」
「他者のお前に何がわかる!?」
「とにかく、三日の日没までお待ちください?」
神無はそう言うと、再び蒼真のもとへ歩いていった。
「……」
一人残された千冬は、両手を握りしめ、唇を噛みしめた。

残されたのは、俺と弥生の二人だけであった。弥生は一向にヤシの裏に隠れている。
「あ、あの……変じゃないから出てきなよ?」
俺は苦笑いしてそう言った。
「ほ、本当ぉ?」
弥生は、恐る恐るそう問う。
「う、うん! 可愛いよ!?」
「……」
未だ、顔を真っ赤
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