第九十六話
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うところで、ユウキが身体を捻ったことで、刀身はユウキの服をかすめるだけとなった。
「隙あり!」
「ない」
日本刀《銀ノ月》の刀身が無くなった、と考えたユウキの斬撃が俺に襲いかかるが、刀身が瞬時に形成された日本刀《銀ノ月》であっさりと防ぐ。カウンターの蹴りを放つものの、その時にはもうユウキはそこにはいなかった。
「ズルいっていうか……前も言ったけど、何ソレ!?」
確かユウキには前もそう聞かれたが、こちらの答えは変わらない。使っている自分としても何とも言えない……恐らく、このデュエルを見学しているリズもそう言うだろう。
「……さぁ?」
「納得出来ない!」
俺なりに誠心誠意ユウキの質問に答えたつもりだったが、どうやらユウキの望んでいる回答は得られなかったようだ。そう叫びながら、またもや突撃の体勢を――いや、これは。
「ヴォーパル・ストライク……!」
「使えなくて武器も違うのによく知ってる、ね!」
忘れるはずはない。アインクラッド終盤においてキリトが愛用していた、単発重攻撃系ソードスキル《ヴォーパル・ストライク》。ユウキの速度も加わったソレを、あのデスゲームで培った経験で何とか防いだものの、ユウキの剣から日本刀《銀ノ月》に雷撃が走った。
――ソードスキルに付加される属性作用だ、と気づいた時には日本刀《銀ノ月》を通して、雷撃が俺の身体に伝わってきていた。ビリビリと身体全体が軽度の麻痺状態となり、それはユウキ相手は致命的な隙となった。
「もらった!」
胴に放たれるユウキの突き――を、翼を閉じて落ちることで範囲外へと逃げる。もちろん、そのまま逃すユウキの反応速度ではないが、追撃に放たれた斬撃は何とか腕に装備された篭手で防いだ。
「っと!」
地上に落下している間に軽い麻痺状態は解け、翼を展開してパラシュート代わりにする。そこを隕石のように落下攻撃してくるユウキを、地に足をつけて迎撃すると、ユウキも翼を閉じて地上に降り立った。
休む暇もなく放たれるユウキのソードスキル《スラント》――しかし日本刀《銀ノ月》を鞘にしまいながらも、俺はこれを狙っていた。ユウキがソードスキルを使ってくる、という状態を。
特に《スラント》となれば、片手剣のソードスキルの中でも習得は簡単なものであるが故に、アインクラッド終盤のモンスターは当然のように使ってきた。つまり、どんなにユウキの手によって高速化されていたとしても、その何百何千回と対峙してきた軌道は決して避けられないものではない。
「あっぐ……!」
ユウキの《スラント》を避けて懐に潜り込みながら、鎧に包まれた胴に回し蹴りを直撃させる。ソードスキルの硬直もあって渾身の当たりとなり、体重の軽いユウキはそのまま吹き飛
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