第九十六話
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属性を司ることが出来るようになった。……もちろんこれが、持ち前の技術で代用出来るわけもなく。
「はぁ……」
……ただただ、途方に暮れることとなった。
「そんな落ち込まなくてもいいんじゃない? 今まで無くてやってきたんだし」
気がつくとまたため息をついてしまっていた自分に、リズが肩を叩きながら励ましてくれた。その太陽のような笑顔は見ているだけで励まされるが、それはそれで別問題として。
「いや、属性関係がないとパーティーに迷惑が……」
「……そんなもっともらしいこと言って。どうせ、ちょっとやってみたいだけでしょ?」
「うぐっ」
そんな笑顔は、ジトーッとした疑っているような表情に変わった後、的確にこちらの本心を貫いてきた。要するに、パーティーに迷惑が、などとは言ったが。そんなことより、自分が属性付きの剣を振るいたかっただけ、という心理をすっかりと見抜かれている。
「……かっこつけ」
「面目ない」
今度は少し頬を膨らませながら言うリズの、糾弾するような視線に耐えきれずに目をそらす。そんな俺を身長の関係で見上げながら、まったく仕方ない――とばかりにリズも一息。俺が目をそらしていた方向へ回り込んだ。
「あんたがええかっこしいなのは、もう充っ分に分かってるけど。あたしの前でくらい、本音で話してもいいんじゃないの?」
「…………」
違う、リズの前だからこそ見栄を張りたいんだろう――などと、正直に言えない自分の面倒くささが今は憎い。しかしてリズは、こちらの顔をジッと見つめることで考えを読む、という超能力をいつの間にか会得しており――断じて、俺の考えていることが顔に出やすい、という訳ではない……と思いたい――まるで探偵のように顎に手を当て、ふむふむとこちらを探っていた。
「……あんたバカでしょ」
――どうやら見破られたらしい。素晴らしい超能力を発揮した彼女は、呆れ顔のまま腰に手を当てつつ嘆息する。ぐうの音も出ずに髪をクシャクシャとしながら、こちらも一応反論という意を示す。
「誰だって見栄くらい張りたいだろう。キリトだって」
「キリトっていうより……アスナよね。あの二人は」
「アスナ?」
予想外の人物の名前が出てきたことで、俺はついついオウム返しのようにその名前を聞き返す。男ならば誰しも見栄を張りたい相手くらいいる、という意味で言ったのだが、リズの表情が少し曇っていた。
「そ。最近、あの子無理してる気がして。キリトの前じゃ絶対に弱みなんか見せない、って気を張ってるみたいに」
何かあったら相談してくれればいいのに――と、リズの愚痴は続く。こちらからは普段通りに見えていたが、リズから、親友から見たらまた違ったのだろうか。
「……よ
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