アインクラッド編
平穏な日々
紅色との日 02
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地理は把握している。 ある程度落ち着いた雰囲気の、アルゲードでは大分落ち着いた雰囲気のお店を探すのには苦労したけど、それでもなんとかギリギリのラインにあるそこを見つけた時は柄にもなく安心したものだ。
閑話休題。
久し振りにそのお店、《マロッキーノ》に向かう道中、いつも騒がしいアルゲードがいつも以上に騒がしいことに気がついた。 見れば進行方向には人集りができていて、全く進めそうにない。
何があったんだろう?
なんて首を傾げては見たけど、小柄な僕ではあの人垣の先は見れないのだ。 飛び越えられないことはないけど、さすがに街中でそんなことをして目立つのも嫌なので、少ない隙間をスルスルと縫うように進んでいく。
どうやらここに溜まっている人たちは何かを見ようとしているらしく、心渡りを使えるだけの《意識の空白》がある。 こう言う時、心渡りは本当に便利だ。
「あ……」
人混みを渡っていた僕は、ようやく見えてきた人垣の発生源を見て、思わず声を出してしまう。
そこにいたのは紅と白の少女。
集まった人が鬱陶しいのか、その綺麗な顔に厳しい色を添えて歩く少女が近づけば、人の波が自然に避けていく。 さながらモーゼのような現実に苦笑していると、少女もまた、僕に気がついてしまった。
「あ……」
数瞬前の僕と同じように思わずと言った風情で声を上げ、それから最短距離で僕の前に立つ。
その頃には周りにいた人たちが道を譲っていて、気がつけば僕と少女は向かい合っていた。
「まさかこんなに早く会えるとは思っていませんでした」
栗色の髪を風に揺らしながら、紅と白の少女は言った。
「少し、お時間を頂けますか?」
「それにしても相変わらず凄い人気だね」
「目立つのは仕方ないですけど、あまりいい気分ではありません」
今までのように嫌悪の籠った視線ではないものの、それでも十分に厳しい目線を僕に向けたアスナさんは、目の前に置かれたカルボナーラ(正確には『っぽい何か』)をつつく。
美人なアスナさんが街を出歩けば大体あんな感じになるけど、やっぱりいつまで経っても慣れないらしい。 今日は随分とお疲れモードだ。
あの後。
アルゲードの街で再会したアスナさんは、どうやら僕に用があったらしく、かと言って街で話していると周囲からの視線があるので移動することにした。 適当なお店だったり、あるいは別の層に行っても良かったところだけど、元々ここ、マロッキーノに来る予定だったので、そのままアスナさんを連れてきたと言うわけだ。
ちなみに、迷路のようなアルゲードの街の中でも一際入り組んだところにあるため、僕たち以外にお客さんはいない。
「だったらいっ
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