4部分:第四章
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第四章
「それじゃあ行くのね」
「私お化け屋敷大好きだしね」
「私だってね」
他の面々は笑顔である。
「それじゃあ行ってそれで」
「楽しもうよ」
「そうよね」
「お化け屋敷ってそれがいいわよね」
「そうそう」
「そ、そうなのね」
陽子は彼女達の言葉に明らかに戸惑っていた。そうしてであった。
仕方なくといった感じでだ。こう言うのであった。
「それじゃあ私も」
「勿論陽子ちゃんもよ」
「バンド仲間はいつも一緒じゃない」
「友達でしょ」
ここで嫌われていないどころか好かれているということが災いした。陽子にとって。
そうしてであった。陽子はそのお化け屋敷に向かうのであった。
入り口からしてだ。随分とおどろおどろしいものだった。黒をベースにして赤い文字で血糊の様に字が書かれている。そしてだ。
もう壊れた提灯やら墓石やらがある。それを見てだ。
陽子はさらに戸惑ってだ。こう皆に話すのだった。
「な、何かここって」
「最初から飛ばしてるわねえ」
「もう期待できるってやつ?」
「そうよね」
他の面々はにこにことしている。
「何かもう中が楽しみ」
「どうなるのかな」
「幽霊とか本物がいたりして」
「あっ、それ最高」
「最高って」
それを聞いて余計に青い顔になる陽子だった。しかし皆それに気付かずにだ。受付をしている女の子に対して言うのであった。
「五人ね」
「それで御願いね」
「いらっしゃいませ・・・・・・」
受付の女の子は垂れ目で黒いロングヘアの女の子だった。外見は可愛い。しかしだ。
急に頭をがくん、と左に落としてみせてだ。こう言うのであった。
「うふふふふふふふ・・・・・・」
「ちょ、ちょっと・・・・・・」
それを見て青い顔が白いものになる陽子だった。
「ふざけたら」
「いいわねえ、あんたわかってるじゃない」
「通は入り口から仕掛ける」
「受付からそれするなんて」
「わかってるわね」
「中に何でもありますよ・・・・・・」
受付の女の子はさらに調子に乗っていた。病んだ目になってみせての今の言葉だった。外見は可愛いが中身はそんな娘であった。
「それじゃあ」
「よし、じゃあ中に入ろう」
「さて、それじゃあ」
「今からね」
「五人ね」
「うう、何か・・・・・・」
陽子だけ元気がない。しかし重足取りで仕方なく中に入ってだ。そうしてだった。
いきなりだ。襲われた。
「怨めしや〜〜」
「田を返せ〜〜」
幽霊に泥田坊がだ。暗闇の中からぬっと出て来たのであった。
「取り憑くぞ〜〜」
「覚悟しろ〜〜」
そんな幽霊達を見てだ。メンバーはにこにことしている。
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