第3章 黄昏のノクターン 2022/12
31話 密航船の行方
[4/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
うか? 水運ギルドの運搬船が来るまでどこかに隠れて待つ?」
「順当に考えればそうだろうな。幸い、隠れるには不自由しない」
「それでなんだけどね、あの木箱の中に隠れちまった方が手っ取り早くないかい?」
クーネと時間までの待機手段を話し合っていると、リゼルから意見が出される。
「いや、圏外でどこに運び込まれるかも分からない箱の中に入り込むのはまずいぞ。どうせなら、俺がまた一人で行けば済む話だ」
「もし相手が一艘だけじゃなくて、護衛に幾つか船を付けて来たらって思うと、こっちのゴンドラだって見つかっちまう可能性だってあるわけだろ?だったら、初めっから荷に紛れちまえば相手だって分かりっこ無いんじゃないかって思っただけさ」
「だったら尚更ロービアに居てくれないか?」
「………まあ、それも分からなくはないんだけど。一応は一緒に行動してるんだし、リンだけに苦労掛けちまうのも寝醒めが悪いのさ。アタイらだって、まだ碌にリーダーの恩を返せてないんだし、少しくらいは華を持たせてくれると嬉しいんだけどね………?」
不確定要素は多いが、荷物に紛れるか。
確かに、クエスト用に用意されたギミックとして捉えれば何らかの意味合いはあるのだろうが、今回はリゼルの意見に委ねるとしよう。少なくとも、彼女の意思に報いる事に対して忌避感があるのではない。思うようにやってみよう。
「………分かった。但し、俺は後方からのサポートをさせてもらう。仲間が敵性Mobに囲まれるような状況は避けたい。それと、退路の確保も必要だろう」
「なんだい、結局は世話になるんじゃないか」
「より深部に潜入して情報を引き出すのがそっちの役目だ。ヒヨリとティルネルは預けるから、面倒を頼むぞ。お姉さん?」
「そ、そのプレッシャーの掛け方は意地が悪いね………」
「何であれ潜入は任せた。俺は一定の距離を保って付いていく。安心してくれとまでは言えないが、出来るだけ善処するよ」
情報収集におけるスタンスも確定し、あとは配置について待機するのみ。
女性陣を二人一組――――組み分けは《リゼルとニオ》、《クーネとレイ》、《ヒヨリとティルネル》とされた――――で木箱に納め、俺はアルギロの絹を被せたゴンドラ二艘を横並びにさせるように連結させた状態で船上に匍匐して作業場を監視。驚くべきことに、《無音動作》のアシストを受けずとも隠れ率は100パーセントに達している。このまま木箱輸送船を追跡しても、看破される可能性は低そうに思える。
そして、木箱が完成した午後四時から数えておよそ三十分。木箱の総量に見合った規模の大型船がゆっくりと作業場に接岸。数人のごろつきが船から降りて商品を積み始めた。
「………なんか、今日
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ