第3章 黄昏のノクターン 2022/12
31話 密航船の行方
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する限り、水運ギルドとコネクションを持つ組織には該当しない条件だ。要はこの街の外部の勢力によるものだろう。そうなってしまっては我々も調査の手法を根本から見直さねばならなくなる」
理知的な口調はそのままに、コルネリオは淡々と推測を述べる。未だに判然としない水運ギルドの背後関係の調査が目下最優先で行うべき案件ということだろうか。
………などと今後のクエストの流れを予想していると、コルネリオが口許を手で覆いながら何やら呟く。
「………いや、もしかすると………そういうことか、面白い」
含み笑いも一切無い、ただ台詞を棒読みしたかのような言葉を聞き終えると間もなく、再びコルネリオは口を開く。
「では、早速で悪いが情報収集に出向いてもらいたい」
「今度は何を調べればいい?」
「まあ、先ずは話を聞いてくれ。これは我々の監視の目から裏付けた結論だが、水運ギルドの取引先である組織は、このロービアの外部に拠点を置いている可能性が極めて高い」
「断言できるのか?」
「ああ、この街に我々の死角があるとすれば、水路の底くらいのものだよ………水深が深いだけに覗き込もうとする者は誰もいない。我々も活用させてもらっているさ」
後半の発言はお互いの為に聞かなかったこととしよう。
「………話が逸れたようだ。とにかく、もし街の外に積荷を積載した水運ギルドのゴンドラが出ていくようならば、行き先は間違いなく例の組織だ。そして、ほぼ確実に足としてのゴンドラは存在しているだろう。君達にはその追跡を任せたい………頼まれてくれるか?」
「了解した」
「頼もしいな。それと、どうやら君達も水運ギルドには警戒されているようだ。我々には現状使用出来る船がないものだから苦労を掛けるが、これを使えば多少は彼等の裏をかけることだろう」
指輪の時と同じく側近に命じて取りに行かせたのは、光沢のある純白の布だった。丁寧に折りたたまれた生地を抱えた男は、またしても無言で受け取るよう催促してくる。今度こそ迷惑を掛けないように、一応は前回の謝罪も兼ねて軽く会釈を交えながら引き取ったそれをタップすると、《アルギロの絹》と銘打たれたプロパティウインドウが出現する。効果は水面に接したモノを完全に視界から消す《限定条件下でのステルス》というべきものらしい。
「追跡手段や報告期日は今回も問わない、君達に一任しよう」
ようやくクエストログの更新を確認し、執務室を出ると、廊下で待機していた案内役の後について屋外へ。見張りにも一礼されつつ、ゴンドラの後部に備えられたコンテナに絹を収めて即座に出航する。
「コルネリオさん達と、仲良くなれてるのかな………?」
ゴンドラに揺られながら、ふとヒヨリが
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