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東方幻潜場
弐章 表と裏
8.『再会』
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べる前にぐしゃっと潰したじゃない」
「あれはちょっと寝ぼけてたから!お姉さまだって、いつもいつもあの子にべたべたして、吸血鬼の誇りはどこいったの!?」
「馬鹿言え、人間の子を奴隷にしているだろう。あの子に優しくしたことはあっても、吸血鬼の立場として対等に見た覚えはないわよ。あんたこそ、あの子にべたべたべたべた、もう吸血鬼の誇りとか言える立場じゃないわ!」
「なんですって!?」
「……水掛け論しても東は帰ってこないわ」
「……うん」
 レミリアは紙切れを手に取った。
 そこで、一つの疑問が浮かび上がった。
「……ねぇフラン。もう帰らないかもしれませんって、どういう意味だと思う?」
「……ここにはもう居たくないって、意味じゃないの?」
「でも、わざわざそんなこと書く必要があるかしら。それにそういう意味なら、もう帰りませんって書くだろうし」
「……何が言いたいの?」
 レミリアはきゅっと目を閉じ、運命を視た。
 東の運命ではない。
 幻想郷の運命である。
「……神が、牙をむいてる」
「?」
「あの子が、幻想郷を揺るがす何かを持っているのかもしれない……?」
 レミリアはすぐに咲夜を呼び出した。
 そして言った。
「妖精メイドを、若木東の捜索に向かわせるな。私が探す」
 これに咲夜は、驚きを隠せないでいた。



 東たちはというと、魔法の森の奥まで逃げ込んでいた。
「……絵文っ、絵文!おい、起きろ!」
「むにゅ……もう食べた……」
「何を!?とにかく、早く起きろっ」
「むにゃ……?……」
 絵文は寝ぼけ眼で東を見つめた。
 数十秒もの間、沈黙が居座り……。
「おにいちゃああああああああああああああああああああん!」
「ふぐぅっ!?」
 猛烈な体当たりを喰らった。ふぐぅっ!?とは、「ふぐ食う」の略ではなくただの悲鳴である。何の説明だ。
「お兄ちゃんお兄ちゃんっ!わあぁ、なんでそんなに縮んでるの?お兄ちゃん相変わらず可愛い!」
「可愛いは余計だ……。それより絵文、お前なんでここに……?」
 いつもより大きく感じる妹の身体を抱きしめながらそう訊いた。絵文はとぼけたように首を傾げた。
「わかんない」
「わかんないって……」
「気付いたら、あの真っ赤なお屋敷の前にいたの」
「……なるほど」
 東は見抜いた。
 絵文は能力に目覚めたことに。
 ただ、どんな能力かまではわからないが。
「……」
 一つ、思い出した。
 妖怪結社は、絵文を人質にしていた。しかし今、絵文はこうしてここにいる。
 ということは、奴らの束縛から解放されたも同然。
 しかし気がかりがある。
 奴らは当然、東たちを連れ戻そうとするだろう。あるいは殺しに来るのかもしれない。
 妖怪結社はトップクラスの妖怪が集
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