弐章 表と裏
8.『再会』
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「……」
「……」
いつも騒がしい紅魔館。しかし今日は、静まり返っていた。
レミリアとフランが一枚の紙切れをじっとにらむ。
そこにはこう書かれていた。
『探さないでください。もう帰らないかもしれません。東』
子供らしからぬきれいな文字で書かれていた。
それもそのはず、彼は本当は17歳である。
「ねぇ、お姉さま……これって」
「どう考えても……」
「「……家出!?」」
幻想郷に来て早数か月。
若木東は失踪した。
東が紅魔館を出たのは、十分に情報を集めきったからではない。
とあるアクシデントが発生したからだった。
遡ること二時間前。
東はいつもどおり、レミリアとフランのやわらかな腕をほどいて、外の空気を吸うため出ていた。
「今日はあの天狗が来る日……色々聞けるだけ聞かなきゃなぁ。……。……?」
東は、門の前に横たわる人影を見つけた。
近寄ってみると、それは栗色のふわふわとした髪の少女だった。
そしてそれは、絵文だった。
「えふ……っ!」
大声を出しそうになったところで口をふさぐ。寝ているとはいえ、いつ起きるのかわからない人物がすぐ近くにいたからである。その人物は毎日のように出血サービスをしており、大変忙しい。
「……荷物を、まとめよう」
東は能力を使った。
『あらゆるものに見抜かれない程度の能力』。
自分の行動が見抜かれないようにしたのだ。
しかし、見抜かなくてもうっすらと気付いている者がいた。
いつでも静かに血を振る舞うサービス精神旺盛な番人、美鈴である。
「……」
美鈴は東が荷物をまとめ、少女を抱えて館を去る姿を、うっすらと目を開いてしっかりと見ていた。
それだけではない。
彼女は気づいていた。
美鈴の能力『気を使う程度の能力』で東の気を調べてみたところ、どうかんがえても子供、もっと言えば人間じゃないようなものだったのだ。
そう、神の気である。
しかし彼はどう見ても人間で、神とは思えないものだった。
だから美鈴は思った。
この子は何かを抱えて自ら幻想郷へ来たのだと。
しかし彼女はそれがわかってもなお、誰にも報告はしなかった。
無論、彼が館を去っていったことも。
東の姿が見えなくなるまで美鈴は見守るように見つめ続け、そして目を閉じた。
一方、紅魔館。
「……お姉さま、あの子に何か悪いことでもした?」
「はぁ!?するわけないでしょ!?」
「どうだかなぁ」
「あんたこそ、あの子に乱暴なことをしてたんじゃないでしょうね!?」
「そんなわけないじゃん、あんな面白い子を壊すなんてもったいない!」
「どうかしら?この前だってあんたの大好きなプリン、食
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