第二十三話:約束と特訓
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、彼女の背後に付いて行く。
……そして、再び特訓が始まる。
――――後六時代まで、なけなしの格闘訓練は続いたが、何処まで遊び呆けているのか御袋も親父も帰って来なかった。
溜息を吐きながら、俺達は座卓の前に集合した。
「……疲れた」
「だねー。もうバンバン打ち合いまくってたし! でも格好良かったよマリスたん!」
「……有難う」
そんな会話をしり目に、俺は戸棚をあさる。
結局昨晩と同じように有り合わせのモノで飯を済ませると、テレビもつけずゲームもやらず、さっさと居間へむかう。
薄暗い部屋の中で俺は考えていた。
……泣いても笑っても……明日はロザリンドとマリス決闘、逃れられないのだ。
明日、出来る範囲で全力を出すしかない。
そして、最悪の結果を回避すべく、尽力するしかないと。
「おぉ! あんな泥まみれだったのにマリスたんの肌スベッスベだぁ。……ハッ! もしかして私の為に陰で――――んもぅ? そんなに好きなら言ってくれればいいのにぃ、マリスたんのムッツリィ?」
「……?」
―――にも拘らず……当の本人であるマリスや、全ての元凶たる楓子も、呑気な雰囲気を霧散させようとはしない。
マリスに至っては夕食が出た途端に、訓練時の雰囲気を霧散させてしまった。
今では、ムトゥーヨガー堂の際の緊張感の欠片もない姿勢に変わってしまっている。
俺がどうなるのかと脅えを含んで考え込んでも居るというのに……それがいっそ馬鹿馬鹿しくなるぐらいの明るさを、ついぞ保持したままだった。
本当にこいつ等は、明日とんでもない激戦になる事を分かっているんだろうな?
何時もならば声に出して(拳も込みで)楓子へと突っ込むところだが、生憎と眠気の方が勝っており、動かすのが億劫に感じたので断念する。
そんな変態と死神のやり取りを見続ける内に――――疲れからだろうか、俺もマリスも、騒いでいただけの楓子さえも……何時の間にか眠ってしまっていた。
明日への不安を、己が胸に抱いたまま…………。
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