第二十三話:約束と特訓
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たもんだ。
陰で見ていたんじゃあるまいな……?
有り得るのが何ともまた、否定しがたいところだ。
……でも今回に限って言うならば、見ていようが見ていまいが別段構わないけどもな。
「……特訓開始から二時間は経っている。……今までも、軽く休み休みやって来たけどもう限界。麟斗、休憩しよう」
「本音は?」
「……御茶菓子食べたい」
「やっぱブレねぇな……お前」
顔では呆れつつ、俺とて休憩自体はしたかったものだから、マリスの提案自体は否定しなかった。
縁側に座り、用意されたお茶(急須の中に毛が入っていないかチェックした)をマリスが、コップに並々注がれた水を俺が手にとって、半分ほど飲みほし一息着く。
不格好に切り取られた羊羹らしきものをパクつくマリスを横目に、俺は此処までの特訓を振りかえる。
マリスは呑み込みも覚えも早く、此処2時間で最初の不格好な拳闘よりは……俺の眼から見てだが少しはマシになったと言えた。
だが『殺戮の天使・マリシエル』という“無差別範囲攻撃特化の概念”に引っ張られているのか―――余り上手いとは言えなかった。
不慣れであるだけならまだしも、未だに棒立ちも多く、【鋼糸鏖陣】を操った時の方が動きも良い。
寧ろ、余計な技術が足を引っ張っているのかもしれない。
それでも……今の状態でもロザリンドクラスなら容易に対処できるだろうし、少し特訓を重ねれば対処もあと少しばかり楽にはなるかもしれない。
何より、今回の戦闘のみ有効な特訓なのだ。今後も続ける必要はない。
兎にも角にも、今日は夕飯時まで特訓を続けるとしよう。
―――夕飯とは言っても俺は全て生モノで、楓子とマリスは宅配飯1択しかねぇがな。
……イチャついてないで早く帰ってきてくれ……御袋。
「……麟斗、羊羹食べない? ……私が食べていい?」
「好きにしろ」
「……分かった、好きにする」
言うが早いか俺の皿の上にあった羊羹を神速でかっさらっていった。
こういう時の動作は何時も以上に、そして物凄く速いとは……もっと別の個所でその反射速度を活かせないモノなのだろうか?
……いやまず無理か。食べ物限定なら。
そんな余計な事を考えつつも、後もう一回特訓を行うべく、頭の中でメニューを組み上げて行く。
「食い終わって少し休んだら、最後の特訓だ。出来るだけ【鋼糸鏖陣】をコンビネーションとして取り入れろ。……良いなマリス?」
「……分かった、頑張る」
リスみたく頬いっぱいに羊羹を詰めたマリスは、微かな咀嚼音を出しながら大きく頷いた。
呑み込むと同時にパンパンと手を叩き合わせて払い、自分から庭の方へと歩を進めて行く。
その背中を見やりながら俺も立ち上がって
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