暁 〜小説投稿サイト〜
少女の黒歴史を乱すは人外(ブルーチェ)
第二十三話:約束と特訓
[6/8]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
追撃しようにも、2、3度振り切られる【鋼糸鏖陣】の所為で反撃は愚か、追いすがる事もままならなかった。

 此処で不意に、マリスの動きが不自然なまでにピタッと止まった。
 ……一体どうしたのか……?


「……ごめんなさい麟斗。体術戦なのに【鋼糸鏖陣】を使ってしまった」


 あぁ、そう言う事か。

 確かに俺は格闘戦の特訓をすると伝えていたし、マリスも【鋼糸鏖陣】は封印しようと考えていたんだろう。
 なのに、今咄嗟に使ってしまったから、謝罪の為に止まったと。


「いや、寧ろ良いな」
「……?」
「格闘は飽くまで、今メインに鍛えるモノだからな……格闘を主に据えるなら、コンビネーションとして【鋼糸鏖陣】を使っても良いと言ったんだ」
「……なら、そうさせてもらう」


 言うが速いか、互いに放たれる正拳突きが正面からぶつかり合い……悔しいがパワーで一歩劣る俺が僅かに押され、弾かれて無防備な体勢を晒す。

 されど、俺とてやられっぱなしじゃあ終わらねぇ。
 弾かれたが、その勢いを殺さない。
 逆にそのまま活かして顎目掛け左アッパー。


「っ……!」


 マリスは目を細めつつ、仰け反ってギリギリで避ける。
 ……だがその動作は、悪手だ。
 俺は軽く口角を上げると、大きく右足を下げ踏み込んでから、当たらぬとも振り抜くつもりで左裏拳を撃った。

 けれども、マリスとて負けていなかった。
 より大きく反って【鋼糸鏖陣】を三つに分割。2本で身体を支え、もう一本の【鋼糸鏖陣】で俺の脚を払ってきたのだ。
 オマケに支えの2本を腕代わりにして“構えたまま”起き上り、空中へ跳んだ俺に飛び込みパンチを打ち込んでくる。
 一本だけで威力を持たせて操る事も出来て、力こそ落ちるが複数への分割も可能からこその芸当だ。


「ぐっ……うおっ!?」


 流石に空中では支えが利かず、俺は防御こそ出来たがその後思い切り吹き飛ばされた。
 ……それでも何とか身体を捻り、片膝を吐いて着地する事が出来、地面との衝突だけは免れたが。


「っと―――ふぅー……っ」


 一旦呼吸を落ち着かせて、マリスをみやる。

 ……其処で動きを止めたからなのか、少しばかり体が重い事に気が付いた。
 やはり幾ら見た目が美少女相手でも、人外かつ格上との特訓は、知らず知らずの内に想い負荷を身体へ与えていたらしい。
 見っとも無いが、マリスに頼んで休憩するか……?


「兄ちゃ〜ん、マリスた〜ん。二人とも元気にやってる? お茶とお茶菓子持って来たよ〜っ?」


 と―――ここで、楓子が妙に甘ったるい声で庭先の縁側に現れた。
 何時も時期が悪かったり空気を読まないのに、珍しくタイミング良く登場してくれ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ