暁 〜小説投稿サイト〜
少女の黒歴史を乱すは人外(ブルーチェ)
第二十三話:約束と特訓
[4/8]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
スが近寄ってきた。
 まあ、何で近寄って来たか、何が言いたいかは分かる。


「……麟斗。なんでこれ以上、食べては駄目なのか説明してほしい」


 ほらな? 当たった。
 嬉しくない。

 微妙に眉を顰めつつも、俺はマリスの疑問に答えた。


「明日の為の準備と、少しながら対抗策を練る為だ。早いうちに行動して置いた方が、やれることが多くなる」
「……準備?」
「取りあえず、説明は『現場』に向かいながらだ」


 そっちの方が手っとり早いしな。
 何より理解力自体はあるマリスだ、簡単な《作戦》の説明でも理解はしてくれるだろう。

 自分をそう納得させつつ小首を傾げるマリスから目を外し、間抜けに口を開けながらパンが焼けるのを待っている楓子を見て、何で此処まで緊張感がないのかと……俺は再びやるせない気持ちになった。


 あと少し、スズメの涙ぐらいは緊張感を持ちやがれ、と。














 ―――全ての気合が抜け、気だるげになりそうなほど、ウンザリする出来事が重なった朝食時より、数時間後。


「シッ!」
「……あっ……!?」



 時刻は午後四時丁度の頃。
 例の場所での作業より()()()()()から一先ず遅めの昼食をとり、食休みを挟んだ俺達は、今現在庭へ出てある特訓を行っていた。 


「もっと腰落とせ。棒立ちが多い」
「……分かった」


 特訓内容は、格闘術。
 固有能力の威力、範囲、応用力など全てスペックに大幅な差がある以上、【鋼糸(スティール)鏖陣(ゴルゴン)】だけで対応しようなど愚の骨頂に他ならない。
 現に駐車場では対応しきれず窮地に追い込まれていたしな……。
 だからこそ【鋼糸鏖陣】や【漆黒(ナパーム)爆弾(デス)】だけでなく、ド素人仕込みの付け焼刃だろうとも、体術を覚えておいた方が良いと俺は考えた。

 相手が親父の様な規格外にも程がある羆だったり、それこそ手練れの剣士であったなら、体術()特訓()を行う意味など全くない。
 アマチュア以下の人間の教えた体術など、すぐに突破されるだろう……それが自明の理だからだ。


「……この特訓は焼け石に水に近い……でも、合理的。だから有り難い」
「教えてる方としても有りがたいな。そう言ってもらえるなら」


 だが相手がロザリンドとなると話は変わってくる。

 設定と概念のお陰か、1つの動作に限るなら卓越した剣術を扱える彼女でも、それらを組み合わせて行使するとなればまた別。
 各術技を無理矢理くっつけた無駄の多い連撃や、動作が大き過ぎただ速いだけの一撃となり果てた拳など、マリスなら苦もなく避けられる。

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ