第二十三話:約束と特訓
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微笑ましく思えた。
初めて尽くしなら、五歳ぐらいの子供のようにあらゆる事を疑問に思い、眼に映る遍く事に興味を示しても仕方がないだろうからな。
……というか全体の比率でいえば半分以下だろうが……本当に年齢二桁行かない子供のソレだ、マリスの思考は。
―――――と。
「おっはよぅ! 兄ちゃんにマリスたん!!」
漂う甘い匂いにつられたか、珍しく楓子も早起きしてきた。
チッ、まだ寝てりゃあ良かった物を。
なけなしの安寧がものの十数分でぶっ壊されやがった。
……コレから俺は用事があるけども、コイツにはその用事は何ら関係ないし、何より変にボケかまされて足引っ張られても困るので、尚更あと2時間以上はグッスリ寝ていてもらいたい。
俺に睨まれている事など意に介さず、楓子はパンを取り出しながらマリスの方を見て、臭いの正体に気が付いたか目を煌めかせた。
「おおう! マリスたん、バニラシュガー!? ならあたしもバニラシュガー! プラスでキャラメル、更に抹茶! トドメにチョコとハニーレモン!!」
味がごっちゃにも程がある。
例え不味くはならなくとも、絶対に何喰ってるか判別付かなくなるだろうが。
……つーか朝から大声出すな。
一々頭に響いて煩わしい。
「……一つづつ試す」
「朝から五枚食べる気か、お前は?」
「……食べる」
やっぱり駄目だと、俺は胸中で呟く。
この大食いをある程度受け入れられても、やっとこさ予想の範疇内に収まっても……やっぱり何処か異様過ぎて仕方ない。
それでも昨日までと同じ状況だったなら放っておいただろう。
が……今日に限れば、そうさせる訳にもいかない。
「食うなら後二枚までにしろ。お前には特に動いてもらうからな」
「……駄目?」
「駄目だ」
「……ショボン」
雨の日に捨てられた子犬の様な、思わず足を止めてしまう悲しげな雰囲気を称えて、マリスは俯いた。
庇護欲を掻きたてられる所作を学んで実行したところ悪いが、今はそれに乗ってやる気も流されるつもりもない。
……例え平時でも、乗ってやる気はないが。
そして擬音を口で発するんじゃあねえ。
「兄ちゃん兄ちゃん、あたしはー?」
「家の中で固まっていろ」
「……まさかの行動権利なし……!?」
常にトラブルしか呼び込まんお前と好んで行動したい訳が無い。だから俺は、デコ助をデートに誘いたい奴の気が知れないな。
つらつら感想を述べても、最後は “後悔” の一択へ収束するに決まってるだろうが。
……少なくとも俺にとっては。
そんな如何でも良い事を考えていると、あっという間にデザート系トーストを食い終えたマリ
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