6部分:第六章
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第六章
「面白いことがわかったで」
「何や?」
「御前のBブロックあるやろ」
「ああ」
「そこ勝って決勝まで行くとな」
こう守に対して話すのだった。
「ひょっとしたら東京の奴が出て来るかも知れんで」
「東京の奴がかいな」
「名前は原申伸」
「おいおい、狙ってるんかい」
守だけでなく他の部員達もその名前を聞いて思わず声をあげた。
「東京で上の名字が原で名前がそれかい」
「喧嘩売ってるような名前やな」
実に大阪的な表現で感情が出される。
「それで蕎麦か何か好物やったら」
「ホンマのうざったい東京モンやな」
「何でも家はもんじゃ屋らしいな」
蕎麦は出なかったがもんじゃが出て来た。
「葛飾の生まれらしいわ」
「ほう、下町かいな」
「俺等と同じやな」
彼等のいる住吉もまさに大阪の下町なのだ。東成や生野、西成、浪速という辺りが大阪の下町だ。東京と比べて大阪は下町の割合が多いのである。
「寅さんとか両さんやな」
「こっちはじゃりん子とか花の応援団やな」
「負けてへんで」
何故か妙な対抗心を出している。
「負けてたまるか」
「なあ、登坂」
「言われんでもわかってるわ」
守も彼等に言われるまでもないといった感じだった。
「俺はやるで」
「ああ、やったれ」
「勝ったるで、東京モンにな」
「さっきも言うたけれどな、浪速のど根性見せたる」
言葉の勢いが強くなっていた。
「絶対にな。あんな墨汁みたいなつゆの奴等に負けてたまるか」
「蕎麦も大阪や」
「なあ」
蕎麦にまで言う。
「向こうは醤油と卸し大根だけやろ?こっちはな」
「昆布に鰹や。だしは圧勝や」
「もんじゃがナンボのもんや」
相手のその料理にまで文句をつける。
「お好み焼きに勝てるかい」
「野球は阪神や」
おまけに野球まで話に出すのだった。何故か彼等の中では全てが一つになっていた。
「巨人!?ふざけるな」
「巨人応援する奴は東京モンだけや」
「そやそや」
話に論理性はないがそれでも彼等は納得していた。
「巨人応援するアホに負けるなよ」
「ええな」
「わかってるで」
「まあもっとも原はヤクルトファンらしいけれどな」
ここで最初に情報を出した部員が言ってきた。
「何でもいつもヤクルトの帽子被っとるらしいわ」
「あっ、そうなんか」
「まあそれはいいわ」
急にかなりトーンダウンした。何故かヤクルトには優しい。
「ヤクルトはな」
「そやな、別にな」
「どうでもええや」
全員がそうであった。傍目から見ればかなり異様な程のテンションの変わり様であった。しかしそれでも彼等は話を続けるのだった。
「それでや」
「ああ」
「そいつ強いんか?」
今問うたのは守だった。
「そいつは
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