第二十二話:フィルター越しの対話
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俺は文字通りのナマモノの、楓子とマリスはレトルトカレーと丼の夕飯は、これといって特別な何かがある訳でもなく、ごく普通に食べ終えつつがなく終わった。
バカみたいにアレンジの調味料を入れたりしない限り、誰が作ろうとも同じ味になるレトルト食品は偉大だな。
……そう言えばラノベに物凄くまずい飯をつくるヒロインがいたが―――味覚が酷いなら兎も角、太るから味見をしないとか言っていた事が、特に心底アホらしいと思った。
その理屈が現実に通用するなら、料理人はデブばかりになってんだろうが。
本当に相手を思うなら、まずテメェがおいしいと思える料理を作れよ……。
「……お代り」
「其処に置いてある、てめぇでやれ」
と、予想通りこれだけで満足しなかったマリスが、食後のアイスを食べる楓子を横目に丼を差し出してきたので、親指でテーブルに置いてある炊飯器と鍋(レトルトパウチ入り)を指差す。
カセットコンロという若干前時代的な装置の上に鍋も置いてあるので、温め直すのもツマミを捻るだけで済むため実に簡単だ。
俺の言葉を受けたマリスは何故かすぐには動かず、暫くの間ジッと何が言いたいのか固まっていたが……やがて腰を上げて自分で盛り付け、自分で袋を破って中身を掛けた。
「……」
何処となく“納得いかない”といった感情の見える目を向けてきやがるが、そんなもの向けられようがコッチにとっちゃお門違いだ。
最初の一杯を用意した理由は皆で食べる為、取りあえずブツクサ言われぬ様に用意した。
親父のお陰か習慣付いてしまった事を実行したまでだ……その後は知らん。
というか、俺の領域じゃあ無い。
それに、マリスは元々死神ではあれど、人間の文化を傍で見てきた存在だ。
余計な知識すら貯め込んでいたのだから、何も分からないという事こそあり得ない。
まさか右も左も分からない赤子じゃあないのだし、あの程度ならばマリス自身でも用意出来るのだから、まだ食いたければ自分でやれ―――そう、俺はただ促しただけだ。
何も間違った事はやっていないし、言っていない。
睨まれた所で、反省する必要も構ってやる必要も無いんでな。
……マリスが二杯目を半分食べ終えるのを待ってから、俺は話をするべく口を開く。
「ロザリンドについて、さっきから考えてたんだが……」
「……紅薔薇の剣姫について?」
答えたのはマリスだけで、楓子の奴は珍しく何も反応せず、食後のデザートだとアイスを食っている。
アイスクリームごときでコイツが話に食いつかない訳無いとも思うのだが、無反応なら無反応でスムーズに話すが進むだろう。
寧ろずっと黙ってくれりゃあ、そっちの方がよほど有り難いがな。
「今
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