第二十二話:フィルター越しの対話
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日ぶつかってみて分かったが……攻撃を喰らいまくってた事と言い、炎と爆発から起きる反応を知らなかった事と言い、精神的に付け入る隙はかなりある。……こっちを見逃す余裕もあったしな」
「……麟斗が頑張っていなければ、そもそも見逃されたかも分からなかった。……【A.N.G】相手にアソコまで戦えたのはすごい、だから麟斗はパートナーとして尤も最適」
「どれだけ褒めようが、既にパートナーだからこれ以上何も出来やしねえよ」
マリスの言う通り、俺が必死こいてぶっ叩かなければロザリンドの考えは変わらなかったかもしれず、ぶん殴った甲斐も一応は“ある”と言えるかもしれない。
だが……苛立ちは全く止まらねえ。
確かに化物相手に、取りあえず通じる徒手空拳だけで挑んでたんだ。
ならばこそ当然の結果だってのはあるが……理屈じゃねえんだよ、こういうのは。
「……チッ」
俺は舌打ちを一つかまして、苛立ちを誤魔化す為に、とある不思議だと悩んだ事柄を頭に思い浮かべた。
ロザリンドの性格は正にノートに書いてある通りであったが、それが生んだのは“付け入る隙がある”という優位を呼び込む事実以外にも、実はもう一つある。
ノートに書いてある、ロザリンドの詳しい性格設定を簡潔に言うなら、
『高潔な性格で騎士道精神を重んじ、正々堂々や一騎打ちを好む。そして無駄な流血を嫌い、無関係の物を巻き込む事や、弱者を斬る事に躊躇いを覚える』
……と、言った感じだ。
俺が微妙な弱者であったり、本来ならば巻き込まなくても良い人間だと向こうが思っていたからこそ、見逃してもらえたという訳だろうな。
要するにノート通りの性格をしているので、彼女だけを見るのならば『概念を得て現世に降り立った人間は、ノートの設定に性格まで縛られる』という事になる―――――が、此処で簡単に納得してはいけない要素がかま首を擡げる。
それは性格も良いと描かれていた“メープル”の邪悪さや、目に付く物を全て殺戮しなければいけない筈な“マリス”の優しさ。
これはノートに書いてある性格とは、特にマリスはまるっきり違うと言って良い。
だから俺は『内面だけはノートに縛られない』という可能性が高いと踏んでいる。
実際、演劇部で己の名前が気に入らなかったのならば、今の身体は嬉しくて仕方無い……のだろうか?
少し気になって来たな……質問して見るか。
「マリス。ロザリンドの前世はどんな人物か知っているか?」
「……記憶している。死神にとって、狩るべき魂と見逃す魂の分別を付ける為、知識は必要と言えるから」
「なら教えて欲しい。演劇部で、玉子とか言う名前だってのは分かってるが……」
「……十七歳で亡くなった。以後、幽霊として彷徨っている」
僅か十
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