7話 天使のような死神(グリムリーパー)
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あ。僕もだ。きっと、いい友達になれただろうね」
上っ面だけで僕らは会話を進める。それもお互いにわかっていた。
「さて、そっちの壁に居る2人の女で、幼いほうが以前ワシントンを狙撃したんだろう?」
やはり視えていたか。
「さあ。僕は命令してないからね。勝手に僕の味方がやったのだろう」
「お前に恋情を抱いているほうは随分肝が据わっているな?」
「さあ。僕は彼女の内面を知らないからね」
クロノスは僕に探りを入れる。少しでも心が揺れ動いたり、少しでもクロノスの単語に耳を傾けたら、僕の体は穴だらけだ。だから適当に受け流し、身構えを止めずに答える。長い。1秒が実に長く感じる。
「メリラ」
「何ですか?」
クロノスは今度はメリラに質問をする。
「お前はどっちの味方だ?」
返答によってはメリラは殺される。いや、返答ではなく、この際声色と言うべきだろう。
「今の状態では、私はカリヒさんの味方です」
「なるほど」
クロノスは暫く黙った。今彼を撃ったら多分殺せる。でも何故か“もう1人”の右手が拒む。
「クロノス隊長。聞いて下さい。カリヒさんは正義のために戦っているんです。今の世界はおかしいと主張しているんです!やり方は正しいとは言えません。ですが、奴隷制度はやはり間違っています!」
「正義ってなんだよ」
僕はつい、口に出してしまった。
「この世界に正義なんてものが存在するか?」
口が止まらない。何故か出てくる。“もう1人”のせいか?
「残念ながら存在するんだよ」
クロノスは口を開く。
「黙れ!正義が存在するならどうして僕はここにいる!?どうして僕は人を殺す!?どうして君は人を殺す!?それは悪だけがこの世界に漂っているからだ!」
何故か、この言葉が落ち着いた。自分で叫んで、自分で本能のままに言葉を発しただけで気分が良くなった。
「うるさい!」
クロノスも続けて怒鳴る。
「俺のやってきたことはいつも正義だ!じゃないとなんのために人を殺したんだ!?俺は頼まれて、俺は誰かに必要とされて!だから殺している。カリヒ!お前はどうなんだ?」
彼の精神を支配できた。この言葉による白兵戦は僕の勝ちだ。後はモチベーションを保った状態でクロノスの眉間を撃ちぬく。
「君がもしも正義であるのであれば、僕は悪だ。君は必要とされて死を与えているのであれば僕は真逆だ。快楽のために人を殺している」
一瞬、クロノスの頬が引きつったように見えた。今のところ、互いに一歩も譲っていない。僕は腹に巻いた爆弾を外し、クロノスに投げつけた。
彼は窓から飛び降りる。爆発で窓がはじけ飛び、そこにしかけた爆弾が誘爆する。僕はすぐにメリラの手錠を外し、彼女の右手を引く。
「上出来だ」
1階に降りると、リーナは
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