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戦国異伝
第二百三十九話 伊賀攻めその三

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「織田家の鉄砲は多い」
「我等も鉄砲はよく使うが」
「あの者達の使い方は独特じゃ」
「今も三段で撃って来る」
「森の中でも我等を狙って来るか」
「そうしてくるのか」
「我等と同じ様に」
 彼等も森の中で鉄砲を使うつもりだった、しかし織田の軍勢がそうしてくるとは思わなかったのだ。それでだった。
 彼等は戸惑った、そこにだった。
 明智は自身が言った通りにだ、兵達を十人や二十人で分けてそのうえで森の中に入らせた。そうしてそれぞれを連携させながら進めたのだった。
 自身も森の中に入りだ、攻め寄せた敵を斬りながら言った。
「よいか、来た敵はじゃ」
「はい、こうしてですか」
「迎え撃ち」
「虱潰しに倒せ」
 一人残らず、というのだ。
「見付けた場合も同じじゃ」
「鉄砲や弓矢も使い」
「そのうえで」
「外すことを恐るな」
 森の中でだ、鉄砲や弓矢をというのだ。
「遠慮なく撃つのじゃ」
「わかりました、では」
「その様にします」
「ではこれより」
「そうさせてもらいます」
 兵達も応えてだ、そしてだった。
 明智の兵達は少しずつだが確かにだった、魔界衆の敵を迎え撃ち攻めてだった。
 倒していきだった。先に進み。
 その明智の軍勢の後にだ、続いて。
 他の軍勢も続く、彼等も同じだった。
「よいか、十人か二十人でだ」
「少しずつ進め」
「森の中は慎重にだ」
「進みそのうえでだ」
 諸将が兵達に言う。
「敵を倒していくのじゃ」
「的確に一人ずつ倒せ」
「連携し合ってじゃ」
「そうしていくのじゃ」
 こう言ってだった、後続の兵達も進められる。そうしてだった。
 森にだ、谷もだった。
 少しずつ進んでいった。信長も本陣において言う。
「焦ることはない」
「少しずつですな」
「進んでいくべきですな」
「完全に囲んでおる」
 伊賀の百地の領地はというのだ。
「それならばな」
「このままゆっくりとですか」
「進んでいき」
「敵を倒し」
「制圧していきますか」
「うむ、疲れた者は後ろに下がり」
 そしてというのだ。
「少しずつ倒せ、そして奴等の術には注意せよ」
「奴等の妖術ですな」
「それについても」
「使うのは十二家の者達だけの様じゃが」
 それでもというのだ。
「それには気をつけよ」
「その十二家の者達ですが」
 ここで言って来たのは平手だった。
「戦はまだはじまったばかりにしても」
「姿が見えぬか」
「はい、先程先陣の十兵衛から報がありました」
 他ならぬ彼からのというのだ。
「敵は多いですが」
「それでもか」
「はい、あの者達はおりませぬ」
 一人たりともというんだ。
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