巻ノ二十六 江戸その十
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「弱みとなる」
「二十三十ならともかく」
「不惑を超えてお子がらぬ」
「そのことだけでも」
「そうじゃ、確かに甥の方がおられるが」
それでもというのだった。
「弱みではある」
「ですか、やはりあの方は譜代の家臣がおられず」
「ご一門の方も少ない」
「そこが他の家とは違い」
「泣きどころですか」
「例えば徳川殿は代々の譜代の臣が多く」
幸村は家康のことをだ、秀吉と比較して話した。
「一門の方もおられご子息もおられる」
「嫡男の信康殿は亡くなられましたが」
「まだご子息がおられますな」
「だからですな」
「このことも大きいですな」
「そうじゃ、あの方はそこが大きい」
秀吉と違いというのだ。
「むしろあの方の方がな」
「天下を握られたらですか」
「上手くいきますか」
「羽柴殿よりも」
「むしろな、特にあの方はよい譜代の家臣の方が多い」
幸村が家康の最もよいのはこのことだと言った。
「それは強みじゃ」
「これ以上はない」
「そうなりますな」
「徳川四天王、その四天王の方々を含めた十六神将」
「揃っていますな」
「武の方が多いがな」
このこともだ、幸村は言った。
「あの方はな」
「そうですな、徳川家はです」
「武辺の方が多いですな」
「北条家等と比べて」
「そちらの家ですな」
「政が出来ても謀が弱い」
幸村は徳川家のこのことも言った。
「そこがどうなるか、か」
「謀なぞいらぬと言いたいですが」
霧隠が言って来た。
「しかし」
「うむ、戦に勝つには必要じゃ」
「人を攻めるのが上計です」
筧は孫子のこの言葉を出した。
「城を攻めるのは下計でして」
「うむ、だからな」
「謀は確かに必要です」
ここで言ったのは伊佐だった。
「それは殿のお父上もですな」
「そうじゃ、父上が謀を使われるのはな」
そのことはというと。
「全てお家を守る為、生きる為じゃしな」
「その為には謀も必要」
こう言ったのは根津だった。
「世はそういうものですな」
「そういうことじゃ、しかし謀には生きる為の謀もあれば」
幸村も言う、その謀について。
「汚い謀もあるからのう」
「汚い謀ですか」
穴山は幸村のその言葉に考える顔になり返した。
「それはどういうものでしょうか」
「具体的に言うと松永弾正殿、宇喜多直家殿の様なものじゃ」
戦国三悪人と言われた者達だ、戦国の世は悪人も多く出たが彼等はその中でも随一の悪人達だったと言われている。
「斎藤道三殿にしてもな」
「その方々は確かに」
その三人の名を聞いてだ、海野も言う。
「汚いですな」
「そう言うしかない」
この三人についてだ、幸村も言った。
「度を過ぎておられた」
「主家を乗っ取り毒
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ