1部分:第一章
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ようになったんだ」
「俺の技はあれだけかい」
「そや」
息子の文句にもはっきりと言い返す。
「その程度って言おうか?じゃあ」
「アホ、俺は天才やぞ」
彼も彼で負けていない。
「その天才捕まえて何言うんじゃ」
「天才やなくて天災やろが」
親父も負けてはいない。
「そこになるまでどんだけ失敗してん」
「ほんの十回位やろが」
「十回も失敗すりゃ充分じゃ」
こう返すのだった。
「十回も失敗しやがってからにな」
「そう言う親父は何回失敗したんじゃ」
「知るか、そんなもん」
また随分な返事だった。
「いちいと覚えてられるかい」
「何処までアホなんじゃ」
「親に向かってアホって何じゃ」
「最初言うたんは親父やろが」
「子供にはアホって言うてもええんじゃ」
こんな調子で店の中はいつも騒がしい。しかしそれでも明るく雰囲気はいいままだった。その雰囲気のいい家で家を過ごしていて。守は店が終わってから後片付けをしながら家族に言ってきた。
「なあ、今度の日曜やけれどな」
「どないした?」
「俺試合や」
こう言うのだった。
「ボクシングのな。試合なんや」
「ほう、部活のやな」
「そうや。だからな」
「弁当か?」
「ああ、それや」
彼が言うのはこのことだった。
「弁当欲しいんやけれどな。何か作ってくれんか?」
「じゃあお好み焼き弁当やな」
母親が言ってきた。
「それでええな」
「おい、またそれなんか!?」
お好み焼き弁当と聞いて顔を顰めさせる守だった。彼は丁度今鉄板を拭いていた。拭いていると小さな女の子が彼に声をかけてきた。
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