Chapter T:to the beginning
第01話:邂逅
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こからならばオラリオの全てを見渡すことが出来る。そして、獣殿という人外の肉体は視力も桁外れで、オラリオの端まで細かく見渡せた。
「あれがダイダロス通りか...確かに複雑な形をしている。それからあれは...【ロキ・ファミリア】のホームか?なるほど、確かに派手だな」
建物だけではない。メインストリートを歩いている人々や昼から酒場で飲んだくれている冒険者、ダイダロス通りで鬼ごっこをしている子供たち、挙げればキリが無いほどの種族の者達が確認できた。その全てが俺には目新しく、好奇心を刺激してくる。
「素晴らしい...建物も、人々も、全てが美しい。」
これが異世界。ファンタジーか。実に素晴らしい。今なら獣殿が言っていた言葉も分かる気がする。
―――私は総てを愛している。
無論、破壊するなどとは言うつもりは無い。むしろ、破壊するなど勿体ない。
…一瞬、誰かが壊すくらいなら俺が。そう考えてしまったが直ぐにその感情を否定する。どうやら少し獣殿に思考が引っ張られているらしい。まあ獣殿よりも俺の理性が勝っているのだから自分を律することは出来るだろう。もしかしたら永劫破壊(エイヴィヒカイト)を使っている間はもう少し獣殿に引っ張られる可能性はあるが。
「それで、卿は誰だね?」
俺が後ろに向けて問いかけるのとほぼ同時に、俺の首に剣が添えられていた。
「貴様、何者だ」
「ふむ。その前に卿の名を教えてはくれまいかね?尋ねたのは私が先だ」
「…【猛者(おうじゃ)】オッタル」
成程。いきなりオラリオ最強の登場か。大方、バベルの頂上が確かこいつの主神の住まいだった筈だから、突如として上に現れた不審者を見に来た、もしくは始末しに来たというところか。
「俺は名乗ったぞ。貴様も名乗れ」
名前か...俺の前世の名前は和名だからこの姿では合わないだろうし、やはり今の姿が獣殿なのだから、前世の自分との決別という意味も含めてやはりこう名乗ることにしよう。
「『ラインハルト・トリスタン・オイゲン・ハイドリヒ』。かつて友から『愛すべからざる光(メフィストフェレス)』と呼ばれた男だ」
「ラインハルト・ハイドリヒ...聞かぬ名だな。」
「オッタル。確かオラリオ最強と呼び声高い冒険者であったな。」
「知っているならば話が早い。ならばここが我が主神フレイヤ様のおられる場であるという事を知っての狼藉では無かろうな?」
「無論、知っているが?」
暗に、知っていた上での狼藉ならば容赦はしない、という意味が込められているのに気づきつつそう即答した。
その瞬間、首にそえられていた剣が容赦なく振るわれる。
キンッ!!
「何?」
無論、俺は無傷だ。形成位階の藤井蓮の一撃を受け止めた獣殿の
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