第1章〜ぼくらを繋ぐ副作用〜
05.見方、視点、感じ方
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菊地原は温かい缶コーヒーを如月に押し付けた。
「くれるのか?」
「いらないの?」
「寒いだろうから飲め」
「唇が青い人が言うの?」
「・・・そうか、すまない。いくらだ。金は払う」
如月は菊地原の頭を撫でようとしたが、手を払いのけられ断念した。
これが菊地原は不愉快で仕方ない。
埋めきれない年齢差が彼にはもどかしかったのだ。
鈍感にも理解に遅れた如月は、やっと自分の誤りに気づいた。
口には言わないが、子供扱いされたくない年なのだ。
子供扱いされたくないと言う時点で、充分に子供なのだが。
「別に・・・何を言うわけでもないけど。
本部に泊まるなら気を付けなよ?
太刀川さんとかまだいるから、捕まると厄介だよ」
「あぁ、わかった。」
背中を見つめながら如月は、自分は典型的な日本人だと自覚した。
「わかった」や「すまない」ではなく、正しい台詞は「ありがとう」なのだろう。
それさえ言えば補える溝を補うのが遅かった。
菊地原がくれたコーヒーを開けて、飲み干した。
副作用ばかり見すぎて、菊地原を見なかった明らかな自分のミス。
「師匠としては失格だな」
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