第8話 想い
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」
そんなたわいない会話をしつつ。シチューを口にする。クリーミーで、安心する、優しい味が口の中に広がる。
下手なレストランよりも美味しい。
当の本人は、カリカリと今回得た情報、重要人物の顔写真を貼り付け、特徴や獲物、名前を書き込んでいる。
食事が終わる頃に、SSと書かれたスタンプを取り出し、ポンッと子気味いい音ともにクルクルとまとめ、仕舞った。どうやらこれ以上仕事をするつもりはないようで、紅茶を啜っている。
そしてふと、ミネが口を開いた。
「今日はありがとな。」
そう呟くと、こちらに小箱を投げてくる。
「なんダ?」
「いいから開けてみろって。」
包みはない、小箱を開いてみると、あの装飾屋にあったイヤリング型の装飾品だった。
「色々あったけど、初めて会ったのがお前でよかった。一年記念的なプレゼントだ。違ったか?」
仏頂面だが、少し心配そうな顔をしている。
こっちは緩む口角を抑えているって言うのに。
「ううん...嬉しいヨ。大事にスル。」
箱をミネに渡す。
「付けてくれるカ?」
一瞬...なんで俺が...って顔をしたが、すぐに後ろに移動する。
さわさわと、戸惑いがない手。
少し...いや、かなり擽ったい。首筋にかかる息も、触れられている耳も。
「......ッッッ...」
「ほら、終わったぞ。」
気付けば、右耳にイヤリングが付いている。いつの間に終わったのやら。しかし、耳元が若干寂しい。
「向こう向け、オレっちが付けてヤル」
「やれやれ...」
何故この男はここまでだるそうに出来るのだろうか。戦場では有り得ないほどだらけている。
慣れていない行動をしたため、少し時間を要したがミネの左耳に無事に付けることが出来た。そして...。
「これは、あの時のお返しダヨ?」
あの時ミネがしてくれた様に、頬に...口付けをする。
一瞬惚けた顔をしたが、すぐに、そうか...とだが仏頂面ではなくなり、少しの笑みを浮かべながら立ち上がる。
「さてと、寝るか。ベッドはこのドアの部屋。俺はソファで寝る。」
ここで、どうしようか迷った...が。
黙って服の裾を掴む。
言葉は...出せなかった。
「んあ...。何でだよ...ったく...。まぁ、今日だけだからな。」
そう言いつつ、手を握って寝室に向かうミネの後ろを歩く。
ダブルベッドではなく、普通にシングルタイプの物だったため、密着しないと狭い。これは予想外だった。どうするか迷ったが、こうなればヤケだ。
ミネの右側に絡みつく。
何故こんなことを...と思ったが、後の祭りだった。
「お休み」
「お
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