第7話 影の女王は闊歩する
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倒だと感じたので、あの場から勢いよく去ったのだ。
「さて、次は何所に行くか」
百代の気などお構いなしに、スカサハはまた適当に散策し始めた。
−Interlude−
此処は七浜の埋め立て地にある九鬼財閥極東本部。
その近くにスカサハは来ていた。
彼女は近くの別の建物を背に寄り掛かり、口元に笑みを浮かべていた。
「始めよう」
そう言った瞬間に、莫大な殺気をある一点に放った。
スカサハの殺気は、九鬼財閥極東本部内で昼間から珍しくいる九鬼帝に当てられた。
正確には彼のいる辺りだ。
一点集中的にスカサハの殺気を当てようものなら、余りの衝撃に心肺停止しかねないからだ。
「むおっ!?」
とは言え、それでもあの影の国の女王の殺気だ。
世界中を飛び回る百戦錬磨の総帥でも、相当な衝撃からの奇襲に驚きの声を上げた。
そしてその部屋の外には九鬼家従者部隊の重鎮である、ヒュームとクラウディオがいた。
「これはっ!?」
「っ!?クラウディオ、帝様を見ていろ」
「ヒューム1人で大丈夫ですか?」
「愚問だな。この俺を誰だと思っている」
クラウディオの答えも聞かずに、一瞬で外に出てから自分達に殺気を放った曲者を探す。
殺気の残り香を辿っていくと、九鬼財閥極東本部の敷地外である雑居ビルに1人の女――――スカサハを見つけた。
「・・・・・・・・・・・・」
ヒュームの目から見てもそれは年若い娘に見えたが、他の追随を許さぬと言わんばかりの美貌に目を剥き見惚れた。
しかし、借りにもヒュームは武道の世界において現最強。
肉体面は全盛期に比べて衰えたが、どれだけ才能の高い現武道四天王達を寄せ付けない不屈の精神面がある。
それ故に、スカサハに見惚れていた時間は刹那よりも僅かな時だった。
そんな一瞬の出来事だと言うのに、スカサハはヒュームの心を見透かしたかのように笑う。
「フフ」
「何が可笑しい?」
「自分で判っているだろうに。なぁ、ヒューム・ヘルシング」
口元に僅かな笑みを残したまま、ヒュームを馬鹿にするように言葉を選ぶ。
「小娘の分際で、俺を呼び捨てにするか」
「その小娘に刹那以下でも見惚れていたのは、何所の老いぼれだ?」
「フンッ!」
スカサハの挑発に、沸点の低いヒュームは躊躇いなく急所を狙った蹴り技を入れた。
それをスカサハは余裕で避ける。
避けられたとしても間髪エグイ連撃入れていく。
しかしそれすらも全て最低限の動作で躱していく。
その行為を2分ほど続けていた両者だが、攻撃していたヒュームが止まった事で戦闘が収まった。
「貴様、何のつもりだ?」
「何のとは?」
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