第7話 影の女王は闊歩する
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別に誰かに見られたくないワケでは無い。単に気分の問題だ。
そう決めたスカサハは、本来なら魔術を使って一瞬で身支度を整えられるのだが敢えてそうせずに、風情を楽しむために自分の手でクローゼットを開いて着替えて行き、庭へ直行した。
−Interlude−
「・・・・・・・・・・・・アイツは、またか」
鍛錬を終えたスカサハは気分的に居間に直行したわけだが、何時もの様にラップを被せた料理がそこにあった。
朝食時は顔を合わせない事もザラではあるが、そう言う日は必ずこの様に事前に作っておいてあるのだ。
彼女は人のまま神の域に到達した罰として不死の呪いを受けたので、別に朝食どころか食べ物を口にしなくても生きていける。
にも拘らず、彼女が食事をするのは士郎の作る料理が特別美味いからである。
なので、こうして作られた以上は食べないと言う選択肢は無かった。
士郎としてはスカサハが食べなかったとしても、残念がる事があっても文句など言わないのだが、彼女からしてみれば士郎の作る料理を残すなどあり得ない事なのだ。
スカサハは意識していなし、士郎自身もそんな気は無いだろうが、彼女の胃は既に士郎にがっちりつかまれているのだった。
「今日も変わらず美味い」
士郎の何時も通りさに今更ながら呆れていたスカサハだが、料理は美味しく頂いていた。
−Interlude−
スカサハの日常は、客観的に見て余生を過ごす老人の“それ”だった。
いや、それ以上でもあり、それ以下でもある。
神からの罰により不死の呪いを受けたせいで、永い月日の中で惰性でダラダラと生きて来たのだ。
そこには感情はほとんど無く、意識と無意識の狭間を漂っているのと同義だ。
影の国の女王に君臨しているモノの、そんな人生に意味などあるのかと、そもそも影の国の女王であり続ける必要すらあるのかと言う疑念を投げかけたくなるほどの空虚だった。
そんな何時も通りの惰性の最中だった。幾つもの偶然が重なった上での召喚が起きたのは。
そうして士郎と出会ってからは幾つもの感情も賦活していき、最近では町中をぶらつく様になった。
彼女の美貌は今更言うまでも無く、絶世の美女と言う言葉にすらも当て嵌まらないほどの美しさだ。
それ故、その容姿から近所ではすぐに有名になった。
だが今日の彼女は、気分的に冬木市以外にも出歩いていた。
いま彼女が歩いているのは川神の地だ。
そこが何所であれ、彼女とすれ違った人々は老若男女の区別なく、顔を赤らめて立ち止まっていく。
その当人と言えば、自分の美貌が他人を見惚れさせる事など当然なので、一々相手にせずに過ぎ去っていく。
そんな当てのない散歩を
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