5部分:第五章
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後
第五章
「あの二人をよくな」
「お手柄だよな」
「いや、それは」
大次郎は彼等の言葉に少し気恥ずかしそうな顔を浮かべてきた。
「まあ。何とかしたいと思いまして」
「それであたし達は」
「それがいいんだよ」
「そうそう」
皆照れ臭そうにする二人に対してまた言う。
「おかげで大変なことになりそうだったのを避けられたよ」
「あんた達のおかげでな」
「その通りです」
ここで待っていたかのように会長が出て来る。にこりと笑いながら。
「貴方達のおかげです、全て」
「僕達の」
「あたし達の」
「そうです、これからも頑張って下さい」
絶妙のタイミングでまた二人に言う。そう、二人にだ。
「二人で」
「二人で!?」
「はい、二人で」
にこやかな笑みと共に二人に暗示をかけるかのように。そう言うのだった。
「これからも。貴方達が頼りですから」
「僕達が、ですか」
大次郎はその言葉を聞いて目を丸くさせる。そうして悠里の方を見た。
「それじゃあこれからも」
「御願いしていい?」
悠里も大次郎の方を見て問う。
「僕も。いいかな」
「ええ、いいわ」
こうして二人はパートナー同士となった。こうして彼等は二人で会長を助けて空手部と弓道部の良心となったのであった。
このことは忽ちのうちに学園中の話題となった。しかしそれは秘密があった。
生徒会室。会長はそこにいた。だがそこにいるのは彼だけではなかった。
「上手くいきましたね」
「ああ。こんなに上手くいくとは思わなかったがな」
「全くですわ」
制服姿の直樹と麗がいた。二人はにこやかに笑っていた。
「これで御二人はより親密になりパートナー同士となった」
「もうすぐ恋人同士にもなりますわ」
麗は普段とは全く違うにこやかな笑みで言う。本当に喜んでいるのがわかる。
「しかし。何だな」
ここで直樹が言う。
「あの二人も奥手だからな。ここまで行くのに苦労したものだ」
「それですよ」
会長は苦笑いで彼の言葉に応える。
「最初貴方達御二人がここに来た時は驚きましたよ」
「それは俺もだ」
「私もですわ」
二人はここで顔を見合わせる。少し剣呑な雰囲気が漂う。
「まさかこいつも同じことを考えていたとはな」
「意外というか何というか」
「御二人がそれぞれ同じことを考えておられたというのですからね」
会長も自分の席に座り頷いていた。その時のことを思い出して感慨もそこにはあった。
「同時にここに来られて私に話をされて。それで」
「こいつの考えだったが。上手くいったな」
「よく合わせて頂きましたわね」
実は直樹と麗は大次郎と悠里がよく二人で合っていることに気付いていたのだ。しかもその二人が気付いていないそれぞれの気持ちにまで
[8]前話 [1]次 最後
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ