4部分:第四章
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葉に頷く。彼等は男子空手部や女子弓道部にも声をかけていた。とにかく何があっても止める気であったのだ。
そうして遂に二人が来た。もう着替えて麗に至っては弓まで持ってきている。完全にやる気なのはもう姿だけでわかるような有様であった。
「逃げなかったんだな」
「それはこちらの台詞ですわ」
麗は毅然として直樹に答える。直樹もまたそんな彼女を睨み据えていた。一触即発の事態になろうとしていた。
「決着をつけていやる」
直樹は麗に対して言う。
「覚悟しろ」
「ええ、宜しいですわ」
麗も負けじと言い返す。
「死に水は私が」
二人はまた前に出て睨み合う。皆おろおろして声もない。しかしそこに大次郎と悠里がやって来たのだった。
「待ってくれないかな」
「ここは抑えて」
「今更何を言ってるんだ」
直樹はきっと二人を見据えて言い返してきた。
「ここまで来て止められるものか」
「そうですわ」
麗も言うのだった。
「この方に引導を渡す為にも」
「やってやる」
「じゃあせめてそれぞれの持ち技でやりなさいよ」
悠里がここで二人に対して言った。
「何っ!?」
「何ですって!?」
「そうでしょ。幾ら何でも空手と弓道の対決なんて無理があり過ぎよ」
「そうだよ」
大次郎も悠里のその言葉に頷く。頷きながら彼は直樹の前に来ていた。悠里は悠里で麗の前にいてその弓を取ろうとしていた。
「それならそれぞれ拳と弓で勝負するべきじゃないかな」
「拳と」
「弓で」
二人はそれぞれその言葉を口にする。
「そうあるべきだと思うよ。どうかな」
「そうそう」
悠里もまた大次郎の言葉に対して頷く。何か二人の動きが合ってきていた。
「大野君の言う通りよ。だからここはそうしなさいよ」
「そうじゃないと卑怯だよ」
「卑怯」
仮にも武道をやっている。二人はこの言葉に眉を微かに動かしてきた。
「そうよ。勝負するのなら」
「それぞれの同じジャンルでね」
「同じジャンルか」
「そういえばそうですわね」
ここで意外なことが起こった。何と二人が納得しだしたのである。
「いいかな、それで」
大次郎がここぞとばかりに二人にまた問う。
「とりあえず物騒なことは止めて」
「ここは大人しくね」
「そうだな」
最初に納得したのは直樹であった。
「その方が真っ当な勝負だしな」
「ええ、確かに」
次に納得したのは麗であった。納得した証拠に頷いてもいる。
「それでは今は止めますわ」
「俺もだ」
直樹も下がることにした。
「悪いな、迷惑をかけてしまった」
「私も。何と言えばいいのか」
「わかればいいのよ」
悠里が謝った二人に対して言う。
「わかったらさあ。これ以上この道場にいてもあれだし」
麗に対しての言
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