破滅の冬
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ずにいるのだ。
「いや・・・待てよ・・・」
一度冷静になり、思考を巡らす。こちらから姿を確認できないということは、相手からも同じことが言えるのではないか?ジュラは確かに強い。だが、シリルのように何か特殊な目を持っているわけでもなければグレイのように氷属性のためにこの吹雪に対して耐性を持っているわけでもない。純粋に魔力が高く、またそれを使いこなす技能に優れているから聖十の称号を持っているのだ。
だったらこの状況は案外悲観するべきではないかも知れない。これが止んでからの戦いに備えて少しでも魔力の回復に努めよう。そう思いその場で一度目を閉じる。すると、彼の足場が浮き上がるのを感じた。
「!!」
“危ない”体がそういっているのを感じた。だが、その危険信号が発せられ、筋肉に避けろと伝達する前に足元から巨大な岩の塊が現れ、ラクサスは打ち上げられてしまう。
「くっ!!」
打ち上げられたラクサスはすぐに体に雷を纏わせ移動を開始する。地面に着地したラクサス。しかし、彼には1つわからないことがあった。
「なんで俺の居場所がわかったんだ」
何度も言っているが今クロッカスの街は視界ゼロの状態。だが、ジュラのものと思われる攻撃は確実に自分を捉えていた。それがなぜなのか、彼には全く理解できない。
「はあっ!!」
野太い男の声が、力強く何かをしようとしている声が聞こえる。それが聞こえたと同時に反射的に横っ飛びするラクサス。その直後、彼がいた場所に何かが突き刺さる音が響く。
「そうか・・・そういうことか」
それを見てラクサスはなぜジュラが自分の居場所を感知できたのか予測ができた。これは・・・要はこの大会の1日目の競技『隠密』でヤジマが言っていたことの延長戦なのだ。
「相手の魔力を探るってことか」
この何も見ることができない状況では、それが一番の策なのかもしれない。相手の場所さえ把握できれば、攻撃を当てることは可能なのだから。
「だったらこっちだってやってやるぜ!!」
目を閉じて意識を集中させるラクサス。近くにいる強大な魔力の持ち主を探る。
「そこだぁ!!」
おおよその位置を把握したラクサスはそこに雷を落とす。
「ぐああああ!!」
自分が雷を落とした場所から男の悲痛な声が聞こえてくる。それがジュラのものだとわかるのにそう時間はかからなかった。
「よし!!このまま―――」
一気に勝負を決めようと雷で戟を作り出そうとするラクサス。だが、その彼の後ろから岩の棒が直撃し、地面へと叩き付けられる。
「ぐっ!!」
倒れるラクサス。しかし、すぐさま立ち上がり敵の魔力を感じる場所に戟を放つ。
両者ともに敵の居場所をわかるから攻撃をぶつけることはでき
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