第三話。パンツを拾ったら全力で、ランドリーへぶち込め! それが優しさ、だ。
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は疑問の声を挙げる。
そんな彼女に、長年『神隠し』をやっていたロアに詳しい鳴央ちゃんは優しく語りかける。
「『ロアの有効範囲というものは、街単位』なんです。例えば探査や調査が得意な……それこそ魔女さんみたいなロアがいた場合、街の外に出ないと盗み聞きされてしまうかもしれないっていうのがあるんですよ」
「ふへえー。都市伝説ってそういうものなのね」
「街単位で広がる噂、というのが基本なんです。なので『土地の名前+都市伝説のオバケ名』というタイプのロアが多いんですよ」
その情報は知らなかったな。確かにそう言われてみれば、一之江のロアは『月隠市』で広がる『メリーズドール』の噂だから『月隠のメリーズドール』であるわけで。
氷澄のパートナーであるラインは『境山』を縄張りにしているから、『境山のターボロリババア』だったし。
理亜のパートナーの赤マントのスナオは『夜霞のロッソ・パルデモントゥム』と名乗りを上げていた。
そういう意味だと、異世界に連れ出す系の物語である『神隠し』の音央や鳴央ちゃんは地域限定ではないタイプなのかもしれないな。
「まあ、この夜霞市に『夜霞のメリーズドール』とかがいたとしても、私の敵ではありません。私は月隠市ではかなりおっかない存在として悪名を広めまくりましたから」
どこか得意げに語る一之江の横顔は、自信に満ち溢れていた。だというのに、彼女から語られた言葉には苦味も混じっているように感じたのは、さっき理亜との戦いでロアというものがいかに曖昧で、儚く、脆い存在であるかを思い知ったからだろう。
「っと、『境川』を越えましたね。ようこそ私の街、『月隠市』へ」
横目で窓の外を確認しながら一之江は俺達にそう告げた。
そして本題を口にした。
「それでは早速、『終わらない千夜一夜』対策会を始めますか」
「はい、一之江さん」
一之江がそう告げると、さっそく音央が質問をした。
「はい、音央さん」
「さっき、『終わらない千夜一夜』を警戒したって言ってたけど、理亜ちゃんにも鳴央が言ったみたいな探査とか調査とかの力があるかもしれないってこと?」
「可能性はゼロではありませんね。全てのロアの『対抗神話』が語れるなんて能力、破格過ぎます。そういう、多くの知識を集められるような力は所持しているかもしれません。でなければ、あらゆるロアの対抗神話を覚えるなんて、普通は出来ないと思いますから」
一之江の言葉に同意する。
確かに破格過ぎる能力だ。理亜の頭が良くても、普通全てのロアの対抗神話を覚えるなんて出来やしない。と、なれば、一之江が警戒したみたいに噂話のアンテナみたいなものを広げることで、必要な情報を集める能力とか
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