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拳と弓
2部分:第二章
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「どうしたものでしょう」
「というか見てみると」
 その二人を見ていると会長の顔がどんどん不安なものに戻っていく。その顔の先にあるものは彼の最大の頭痛であった。
「あの二人は余計に」
「そう見えますか?」
「見えます」
 会長は大次郎に答える。
「というよりはそうとしか思えません」
「やっぱりですか」
 大次郎も悠里もそれを聞いて顔を暗くさせる。何か二人は一触即発になろうとしていた。
「確かに他の皆は少しずつ打ち解けていっています」
 会長はそれは認める。
「しかしあの二人だけは。どうにかなりませんか?」
「どうにかしようと思って今があるんですが」
 それに対する大次郎の返事はかなり困った顔をしてのものであった。
「ちょっとこれは」
「そうですか。ここまでとは思っていなかったのですが」
「残念ですがそうです」
 睨み合う二人を見ながら答える。
「見ているだけで何か」
「ちょっと、まずいわよ」
 悠里も言ってきた。二人は睨み合いを続けている。周りもそれに気付いて緊張しだしている。
「止めに行きましょう、早く」
「そ、そうだね」
 大次郎は悠里のその言葉に頷く。そうして今彼等を止めに向かった。
 大次郎と悠里が来た瞬間だった。直樹と麗は同時に口を開いた。
「この際だから言っておく!」
「ええ、聞いてさしあげますわ!」
「ああ、やっぱり」
 会長は遂にはじまった二人の衝突を目の当たりにして嘆く声を出す。天を仰いだがそれでもすぐに大次郎達に続いて二人の間に向かった。

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