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魔界転生(幕末編)
第36話 静寂

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第青白く輝いていた。
高杉にはそう見えた。
土方が抜いた刀の刃が。が、高杉は心が躍っていた。
喧嘩屋と言われたその魂があの青白く輝く光と戦いたい。そして、あの刀とは面白い喧嘩が出来ると。
「原田、斉藤と共にこの場から撤退しろ!!そして、先に京へ迎え」
土方は隠れて様子を見ていた原田に大声で命を下した。
「あぁ?まだ、いたのか子鼠が」
喧嘩の前の恍惚感をそがれた気分に高杉は苛立った。
「おい、お前の相手はこの俺だ。いくらでもしてやるから、しばし待て」
土方は不敵ににやりと笑った。
土方自身も何故か目の前の化け物とやりあえるのが楽しみになっていた。別の自分になっていくような気がするのだ。
確かに新撰組内では言われていた。が、それは局の秩序を守るためにしてきた事だった。
秩序無き集団は多かれ少なかれ崩壊する。が、今は違う。
高杉晋作という化け物とすぐにでもやり合いたいという衝動が抑えきれない。
原田は高杉を警戒するように間合いを取り、斉藤の元へと近づいていった。
「一、 大丈夫か?」
原田は斉藤に話かけた。が、答えが返ってこない。
「一?」
原田は斉藤の状態を見て驚愕した。なぜなら、腕はあらぬ方向に折れ曲がり顔面は血で真っ赤に染まっていた。
「おい!!一!!」
原田は斉藤を慌てて揺すった。が、斉藤からの返事がない。
「おい!!しっかりしろ!!」
原田は何度も斉藤を揺すった。
「う、うぅーーん」
うめき声と共に目がうっすりと開きはじめた。
「さ、左乃助」
消え入りそうな声だった。
「よかった。生きていたな。ここから離脱するぞ」
原田は斉藤を抱きかかえゆっくりと歩きだし、土方に首で合図した。
土方もまた原田に向かって合図を返した。
「さぁ、始めようか?高杉晋作」
土方は不敵ににやりと微笑んだ。それはまるで、剣豪・柳生十兵衛の魂が乗り移ったようでもあった。

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