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拳と弓
1部分:第一章
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大体何時の間に決めたんですか?」
「そうだよ、何でまた」
 彼等はとかく不満に満ちていた。これは大次郎も悠里も予想していた。当然ながら例の二人のことも予想をつけていた。彼等はそれぞれ二人に食ってかかっていた。
「おい、何でこうなるんだ」
「何時の間に決められたのですか?」
 大次郎と悠里がそれぞれの部員達を一緒に集めて説明した後で直樹と麗は二人のところに来たのだ。そうして眉を顰めさせて二人に対して言う。犬猿の仲なのに今回ばかりはどういうわけか息が合っていた。
「よりによって何でこんな女と」
「このような方とは御一緒できません」
 それぞれ言う。
「今からでもいい、俺達だけでやるように生徒会に言え」
「男子空手部だけは外して下さい」
「おい、それはどういう意味だ」
 直樹は今の麗の言葉に素早く反応して抗議してきた。
「そっちこそそんなことできるのかよ。掃除なんてよ」
「見くびってもらったら困りますわ」
 麗はきっと直樹を見据えて言い返す。
「女子弓道部は誰もが淑女です。掃除もまた」
「お嬢様が掃除なんてできるのかよ」
「真の淑女ならばできます。そちらこそ何時までも空元気ばかりというのは如何でしょうか」
「何っ!?」
「あらっ、やりますの?」
 大次郎と悠里の前でもいつもこうだ。二人はそんな彼等を見て内心溜息をつきながらもこう述べるのであった。

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