1部分:第一章
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だなあ」
大次郎は腕を組み首を捻って考えだした。やはり困った顔のままで。
「何か一緒にしてもらうとか」
「何かって?」
「うん、例えばだよ」
彼はここで言う。
「空手部と弓道部で一緒に何かするとか」
「一緒にねえ」
「これだとどうかな」
そう提案してきた。提案といってもまだ具体的なものは何もない。
「とりあえずお互いをよく知ればさ、考えも変わるだろうし」
「よく言われるわね、それは」
「そうだろう?だからさ」
彼はとりあえずそれでやってみようと思った。悠里に対してもそれで言う。
「何か考えてみない?」
「そうねえ」
悠里もここで腕を組んだ。体育座りの足が開く。しかしスパッツなので見ても何も嬉しくない。黒いスパッツに包まれている脚は意外と奇麗なものだったが。
「そういえばさ」
「うん」
「生徒会がこの校庭の大掃除を考えてるらしいのよ」
「大掃除を!?」
それを聞いた大次郎はふと閃くものがあった。
「そう、大掃除。何処かの部活に頼みたいらしいけれど」
「ああ、それいいね」
大次郎はそれを聞いて顔を明るくさせる。彼もそれがいい話だとおもったようである。
「それじゃあさ、それ受けようよ」
「空手部と弓道部でね」
「そう、男女合同で」
二人はその路線で話をしていく。話をする二人の顔がどんどん明るくなっていく。
「そうしたら男子空手部も女子弓道部もさ。お互いのことがわかって」
「喧嘩しなくなるわね」
「むしろこれで仲良くなるかも」
「うわ、そうなったら最高ね」
「うん。じゃあ決まりだね」
大次郎はその日本風に整った顔を綻ばせて述べる。
「それじゃあそういうことで」
「え、受けましょう」
こうして二人は生徒会の募集を受けた。会長はそれを聞いてまずは驚きの顔を生徒会室で二人に向けた。
「本当にいいんですよね」
「はい」
二人は笑顔で会長に頷く。
「それで御願いします」
「是非」
「それならいいですが」
会長は二人の笑顔を受けて一応は受けた。だがどうにも困惑した顔は隠せなかった。その表情がありありと彼等にも見える。それでも言うのだった。
「任せて下さい」
「きっと」
「大丈夫ですよね。特にあの御二人」
直樹と麗のことであるのは言うまでもない。会長もこの二人の仲の悪さには頭を痛めているのが実情なのである。そうしたところに合同で大掃除を受けるというから戸惑っているのだ。
「大丈夫です」
「ですから」
「はあ」
二人は会長に対して押し切った。こうして合同の大掃除が行われることになった。最初にそれを部員達に話をすると予想通りの反応が返ってきた。
「嫌よ」
「何であんな偉そうな奴等と」
それぞれ女子弓道部と男子空手部のうちの一人の言葉である。
「
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