暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
キャリバー編
第216話 ヨツンへイムの異常と金髪の美女
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たよ?」

 先に行っていた筈のユイが、ひゅんひゅん、と呼びに戻ってきてくれた。


――……あの広大なヨツンへイムを見れば……、多少は忘れられるかなぁ。


 と、希望的観測を頭の中に浮かべながら、態々引き返してまで伝えに来てくれた愛すべき娘のユイにキリトは、軽く返事を返すと、進む速度をあげるのだった。



 そして、キリトの言う通りに、5分足らず程度で、パーティーはアルヴヘイムの地殻を貫く螺旋階段トンネルを走破し、行く手には仄白い光が見えてきた。それと同時に仮想世界の空気が一段と冷たさを増した。顔の周囲を氷の結晶がキラキラと舞い始める。

「わっ……わぁぁぁ………」
「すごい……」

 ヨツンへイムそのものを初めて見るのはシリカとシノンの2人の猫だ。あまりの銀世界に口を揃えて声を上げている。小竜のピナに至っても、シリカの頭の上でぱたぱた、と翼を盛んに動かしていた。

「さささ、さみぃぃぃ………」

 そんな情景を楽しんでいた所に、水を差してくるのはクラインの一言。
 確かに、ここは非常に寒い。分厚い氷と雪に覆われた美しくも残酷な常世の世界だ。だけど、初見であれば その鮮やかな白銀の世界に目を奪われてしまうのも仕方のない事であり、邪魔しないで、と正直シノンは勿論、シリカも思ってしまっていた。

 《白銀》

 それが、良い色(・・・)だと言う事は、この2人はよく知っているから。

 そんな中、キリトは先程の1件をすっかりと忘れて見入っていたシノンを見て、少し安心した後、直ぐ様、あの空中ダンジョン。世界樹の巨大な木の根っこ――アルヴヘイムに屹立する世界樹の根に抱え込まれる様にして、薄蒼い氷塊が、天蓋から鋭く突き出している。 《逆ピラミッド型》の空中ダンジョン。その最深部に、あの剣(・・・)がある。
 
 キリトは暫く目を離す事ができず、それに気づいたリュウキも 軽く含み笑いをしていた。

「よしっ」

 アスナは、ぐっと拳に力を入れると同時に、右手を翳して滑らかにスペルワードを唱えた。すると、全員の体を一瞬薄青い光りが包み込み、視界左上のHPゲージの下に小さなアイコンが点灯した。
 それを確認出来たと同時に、まるで上等のダウンジャケットを着込んだかの様に、肌寒さが遠ざかる。

「うん。凍結耐性の支援魔法(バフ)を掛けたよ」
「あ、私もしておくね? 直ぐに戦いが始まっても良い様に」

 アスナの支援魔法(バフ)の恩恵を受けた後は、我らが麗しき、歌姫(レイナ)の恩恵だ。奏でる歌は 聴く者全てを魅了するかの様。両手を広げて、この寒さで澄み切った空に、歌声が響き渡ったかと思えば、左上のHPゲージの上に、アイコンが現れる。《剣と盾》を象ったアイコンであり、そのスキルの名は《|戦
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