102章 信也と竜太郎たち、詩や芸術を語り合う
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いるんです。
なにも、大芸術家じゃなくても、大詩人になんなくっていいんですよ。あっはは。
美しいことを美しいと感じることができれば、それで、立派に、芸術家だし詩人なんだと思います。
社会に認められるとか、プロになるとかは、また次元の違う、別の話ですけどね。
去年の12月のNHKのEテレなんですけどね。 『課外授業・ようこそ先輩』で、
歌人の斉藤斎藤さんが、とても、いいこと言っていたんですよ。
おれ、これこそが、詩人の原点だし、芸術の原点だと感じたんです。
斉藤さんは、図書館で、岩波新書の小林恭二さんの『短歌パラダイス』を読んで、
その本の中の、歌人の奥村晃作が作った短歌に出会って、
それに感動して、歌を作りを始めたそうなんですよ。
その短歌が、どんなのだったか、想像できますか、みなさん!?あっはは」
「どんなの?どんなの?」とか、
「斉藤さんって、名前も斎藤なんだぁ」とか、みんなは口々に言う。
「奥村晃作さんの短歌は・・・、
次々に
走り過ぎ行く
自動車の
運転する人
みな前を向く
・・・というものなんです!どうですか、おもしろいですよね!」
「あっはは、おもしろい短歌だね」と竜太郎は言って笑った。
みんなも、その短歌のストレートさとかに、感心しながら笑った。
「斉藤さん、この短歌にこんな
説明をしています。
『運転する人って、じーと、みんな前を向いているわけで、素敵じゃないですか』とか。
あと、『短歌というのは、別に誰かに何かを伝えようとするもではない」とか、
『もし、あなたが生きていて、ある瞬間に、何かを思ったとき、
何か景色を見て、何かを感じたというときに、
その感じたことは、世の中の、ほかの誰がいいと思わなくても、
あなたが感じたということは、あなたが感じたこと自体に価値がある』とか言ってました。
おれは、こんな考え方こそが、詩や芸術というものの原点なんだ思ったんです。
世の中では、詩や芸術を、難しいことに考えすぎて、
普通の人間のものではないものにしてしまっていますからね!
子どもの心や感性でも、やっていけるのが、詩や芸術の原点ですよね、きっと」
「しんちゃんの言うとおりだね。難しいもんにしまっているから、
詩や芸術を、みんな、簡単に、手軽に、楽しめなくなっているんだ、きっと。
みんなで、力を合わせて、ユニオン・ロックとかで、人間性の回復の仕事でもしてゆきましょう!」
じゃあ、みなさん、また、カンパーイ!」
竜太郎がそう言って、みんなと、ビールグラスを合わせた。
みんなは、笑顔で、美味そうに、生ビールを飲んだ。
≪つづく≫ --- 102章 おわり ---
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