File1
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様々だ。そこに似合う人もいれば、明らかに場違いな人だっている。
その中でも、明らかにこんな商店街は不似合いな女性がいた。
黒いスーツ姿のその女性は、長い黒髪にスーツの上から純白の白衣を身に纏った美女。キョロキョロと辺りを見渡しながら歩く姿は何かを探しているように見える。
「おかしいな……ここら辺の筈なんだが…」
女性はその手に握られたメモとにらめっこしながら歩いている。どうやら相当の方向音痴らしい。さっきから同じ場所を行ったり来たりしている。
ピッチリと締めていたネクタイを緩め、ガリガリと頭を掻き毟る。その姿からは、品性の欠片も感じられない。
フラフラとしていると、町の商店街らしい模型店が目に入った。そこには沢山の子供達が集まりガンプラバトルを楽しんでいる。思えば自分にもあんな時代があったのに、今では行き遅れのおばさんギリギリになってしまった。
「とりあえず、あそこで道を聞いてみるか……歩くのも疲れたし……」
溜息を吐きながら、その模型店へと入っていった。中は年明けということもありそれなりに賑わっている。
小さな子供が大半で、その中にチラホラと大人も混ざっている。恐らくは実業団の選手達だったりするのだろう。
中を見ながら歩いていると、一人見たことのある顔がいた。
髪はやや長めで尖ったように逆立っている。黒髪に黒目の少し細めの少年。
名前を知っているわけでは無い。ただ、何度か顔を見たことがあるというだけで、名前までは知らず、どこで見たかも覚えていない。
そこまでハッキリと覚えていないということは、大した人物でもなかったのだろう。
女性はそう割り切り、店内の中央にあるバトルスペースへと歩いていく。
「いけぇ!Zガンダム!」
「はっはっは!ザクとは違うのだよ、ザクとは??」
バトルスペースでは、小学生程度の少年と、父親らしき中年の男性が年齢を感じさせる台詞を言いながらガンプラを操作している。
この仲の良いおやこはの様に、周りでも複数の組が各々のガンプラで戦っている。
まだまだ未熟なものから、高い完成度を誇る熟年の物まで様々だ。
数多くの人が集まるゆえに、下手をすれば柄の悪い客まで入ることがたまにある。
「おらぁ!サッサとドキやがれ??」
そう。こんな感じにマナーを守らないタイプの人間が来ることもしばしばだ。
時代錯誤な不良と言った服装をした大柄な男と、腰巾着のような小太りの男の二人組が楽しくバトルをしていた家族を押しのけていく。父親らしき男は、半泣きになっている少年を庇いながら歩き出す。
本当なら、チンピラに文句の一つでも言いたかったのだろうが、子供がいる手前、あまり危ない行動には出れなかったのだろう。
ーその行動は間違いではないよ。
女性は胸の内で男性をねぎらい、ため
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